2022-08-13 14:46政治

改憲論議、同床異夢の自公維国=9条・緊急事態、調整難航も

 7月の参院選を経て、自民、公明両党と憲法改正に前向きな日本維新の会、国民民主党の4党が衆参両院とも改憲発議に必要な全議席の3分の2を引き続き占めたことから、秋の臨時国会以降、改憲論議は進む見通しだ。ただ、「本丸」の9条はもちろん、比較的ハードルが低いとみられる「緊急事態条項」創設でも各党間に隔たりがあり、調整は難航しそうだ。
 岸田文雄首相(自民党総裁)は参院選後、「できる限り早く発議に至る取り組みを進める」と表明した。自民党は(1)9条への自衛隊明記(2)緊急事態条項(3)参院選挙区の合区解消(4)教育の充実―を重点項目とする。首相が衆院解散に踏み切らなければ2025年まで大型国政選挙の予定がないため、この「黄金の3年間」に条文案で合意し、初の改憲発議にこぎ着けたい考えだ。
 新型コロナウイルス禍や東日本大震災を踏まえ、自民党が最も理解を得やすいとみるのが緊急事態条項の新設。他の3党も国会議員任期の特例延長には理解を示す。ただ、国会を通さず内閣の権限で立法措置を取る「緊急政令」は自民党と維新が必要性を訴える一方、公明、国民両党は慎重な姿勢を崩していない。
 9条改正に関し、自民党は戦争放棄を定めた1項と戦力不保持・交戦権否認を定めた2項を維持し、自衛隊の根拠規定を設ける案を提示。維新も足並みをそろえる。これに対し、公明党は9条に手を加えることに否定的。国民民主は「自衛権」行使の範囲などを明確にすべきだとの立場だ。
 合区解消について、公明党と維新は参院選挙制度をブロック制に変えるよう主張。教育の充実に関しては、維新は「無償化」を唱えるが、自民党はそこまで踏み込むことに後ろ向きだ。
 こうした状況に、公明党からは「多くの党の合意形成に努めなければならない」(北側一雄副代表)と、自民党をけん制する声が上がる。
 ◇安倍氏の影
 改憲の「旗振り役」だった安倍晋三元首相の死去も影響しそうだ。自民党の保守系議員は推進力低下を懸念しており、5日の党憲法改正実現本部の会合で古屋圭司氏は「しっかり取り組むことが供養になる」と強調した。
 ただ、安倍氏の「遺志」を前面に出せば、「安倍改憲反対」を掲げていた立憲民主党などを刺激する可能性が高まる。衆参両院とも野党第1党の座を維持する立民の反対を押し切ってまで発議することには自民党内にも慎重論が強い。
 首相は内閣改造を受けた10日の記者会見で最優先課題を問われ、「持続可能な経済社会」と「ポスト冷戦期の次の時代の国際秩序」をつくることを挙げ、改憲に言及しなかった。自民党内には「本音ではそれほど前向きでない」(中堅)との見方がくすぶる。 
[時事通信社]

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