2022-08-12 12:50World eye

ボリウッド人気俳優、最新作ボイコット騒動 高まるイスラム教徒への圧力

【AFP=時事】インドの人気俳優でイスラム教徒のアーミル・カーンさん(57)の過去の発言をめぐり、カーンさんが主演を務める最新作のボイコットを呼び掛ける動きが広がっている。≪写真はカーンさん≫
 インドでは、ヒンズー至上主義を掲げるナレンドラ・モディ首相の下、映画界ボリウッドでも少数派であるイスラム教徒に対する圧力が高まっている。
 カーンさんは『きっと、うまくいく』や『ダンガル きっと、つよくなる』などの大ヒット映画で主演を務めた。
 最新作『ラール・シン・チャッダ(原題、Laal Singh Chaddha)』は、トム・ハンクスさんが主演を務めた1994年のハリウッド映画『フォレスト・ガンプ/一期一会』をリメークしたもの。今年最大のヒット作の一つになると期待されている。
 しかし、11日の公開を前に、カーンさんの2015年のインタビューに注目が集まった。カーンさんはその中で「恐怖心」が高まっているとし、当時の妻とインドを離れることも話し合っていると語った。
 「妻は、子どものことや私たちを取り巻く雰囲気がどうなっていくのかと恐れ、毎日、新聞を開くのを怖がっている」
 ツイッターでは、カーンさんの最新作のボイコットを呼び掛けるハッシュタグ「#BoycottLaalSinghChaddha」が作られ、先月以降20万件以上ツイートされた。その大半が、与党・インド人民党(BJP)の支持者によるものだった。
 ある人はツイッターに「アーミル・カーンはヒンズー教徒の女性2人と結婚したのに、子どもにはジュナイド、アザド、アイラと名付けた。(共演者でヒンズー教徒の)カリーナ(・カプール)はイスラム教徒と結婚し、子どもにタイムール、ジェハンギールと名付けた」と投稿。子どもたちが典型的なイスラム教徒の名前であることに言及した。
 「これだけでもラール・シン・チャッダをボイコットするのに十分な理由になる。基本的にこの作品はボリウッドのラブ・ジハード(聖戦)・クラブによるものだ」と続けた。ラブ・ジハード・クラブとはイスラム教徒の男性がヒンズー教徒の女性に結婚を機に改宗を強制していると非難する、ヒンズー至上主義者が作った差別表現のこと。

■愛国心

 「ミスター・パーフェクト」の異名を持つカーンさんは、ボリウッド映画を伝統的な歌と踊りを超えた社会的・文化的な問題を扱う作品に押し上げようとしていることで知られる。
 レイプやドメスティックバイオレンス(DV)、汚職といった繊細な話題を議論するトーク番組「Satyamev Jayate(真実のみが勝つ)」の司会を務めたこともある。
 最新作をめぐる騒動を受けて今月初旬、カーンさんは愛国心があることを強調した。
 地元メディアに対し、「私がインドを好きではないように思っている人がいるようで悲しい」と語り、「事実ではない。私の映画をボイコットしないでほしい。作品を見てください」と訴えた。
 カーンさんは、シャー・ルク・カーンさんやサルマーン・カーンさんと並ぶ、イスラム教徒である大スターの一人。そのアーミル・カーンさんにかけられた圧力は、少数派に対する不寛容や排斥、中傷が高まっていることを反映していると、評論家は指摘する。
 匿名を条件にAFPの取材に応じたある評論家は「アーミルが、イスラム教徒に対する憎悪を拡散させている層から標的にされたのは間違いない」と述べた。【翻訳編集AFPBBNews】

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