2022-08-09 14:25World eye

「食べるものがない」と通報の少年に寄付殺到 ブラジル

【サンタルジアAFP=時事】ブラジル南東部ミナスジェライス州の貧困街で暮らすバロス家のパントリーは、1週間前には空っぽだったが、今では台所に食料品が積み上がり、置き場所に困るほどだ。きっかけは、8人きょうだいの一人であるミゲル君(11)が警察に「食べるものがない」と通報したことだった。≪写真はブラジル南東部ミナスジェライス州ベロオリゾンテ郊外のサンタルジアで、寄付された食料品の横に立つミゲル・バロス君≫
 ミゲル君の母親は3日間、唯一の食料だったコーンミール(トウモロコシの粉)と水を子どもに与えていた。そうした中、ミゲル君は2日、緊急通報用の番号に電話を掛けた。どうしたのかと聞かれると、「お巡りさん、僕の家には食べるものがない」と答えた。
 電話を受けた職員は、ミナスジェライス州ベロオリゾンテ郊外の貧民街サンタルジアに住む一家の元に警官を派遣。粗末なコンクリート製の家に到着した警察は当初、育児放棄を疑った。だがそこにいたのは、子どもに愛情を注ぎながらも貧困に苦しみ、食料価格の高騰、失業によって家族を養えなくなった母親だった。中南米一の経済を抱えるブラジルでは現在、こうした家庭が増えている。
 警官はスーパーマーケットに向かい、大量の食料品を手にバロス家の元に戻った。中には、一家の事情を聞いた店主が寄付してくれたものもあった。その後、地元の新聞がこの話を取り上げたことによって、ミゲル君は一躍有名となった。
 バロス家には国内外から食料品と寄付金が続々と届き、台所はまるで小さな市場のようになった。ミゲル君は、パントリーを開けて見せると、「いろんな食べ物がありすぎて、どれが何なのか分からない」と笑顔で語った。

■「飢えはつらい」
 母親のセリアさん(46)はシングルマザーで、8人の子どものうち6人と一緒に暮らしている。定職がなく、単発の仕事で食いつないでいたが、新型コロナウイルス流行の影響で仕事がなくなってしまった。
 末っ子の赤ちゃんを抱えながらAFPの取材に応じたセリアさんは、「とても苦しかった。飢えはとてもつらく、一生忘れられない」と説明。「立ち上がることも何もできなくなる。ミゲルは、私が絶望して泣いているのを見て、決心したのだと思う。そのおかげですべてが変わった」
 ミゲル君は、自分の家族に十分な食べ物があることをただただうれしく思っている──だけではない。
 「たくさんの寄付を頂いて、何もない状態から、他の人を助けられるほどにまでなりました」と母親のセリアさんは誇らしげに語った。
 ブラジルでは、10年前にほぼ根絶された飢餓が再び社会問題となっており、人々はミゲル君の話に心を打たれた。同国は2014年、世界の飢餓状態を示す国連の「ハンガーマップ」から除外されていたが、最新版マップでは人口の28.9%が「中程度から重度の栄養不足」に陥っているとされた。
 最近の調査によると、一日5.50ドル(約740円)未満で暮らす貧困状態にある人の割合は30%で、14年の24%から増加した。10月に総選挙を控えた同国では、極右のジャイル・ボルソナロ現大統領と、有力候補の左派ルイス・イナシオ・ルラ・ダシルバ元大統領が、この問題の責任をめぐり互いを非難している。【翻訳編集AFPBBNews】

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