2022-08-08 18:41政治

岸田首相、見誤った世論の風向き=銃撃1カ月、旧統一教会問題で―安倍氏国葬

 岸田文雄首相が、自ら決めた安倍晋三元首相の国葬に対する世論の反発に苦慮している。当初は「少数派」(首相周辺)とにらんだ反対意見が勢いを増し、報道各社の世論調査でも賛成意見を上回るケースが相次ぐ。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)をめぐり、安倍氏や自民党との浅からぬ関係が明らかになったことが要因とみられ、首相の判断の妥当性を問う声が強まってきた。
 安倍氏が参院選の遊説中に銃撃を受け死亡した事件から8日で1カ月。国葬の是非をめぐり、首相は6日の記者会見で「国の公式行事として各国の代表を招く形式で葬儀を行うことは適切だ」と繰り返した。
 首相は銃撃事件の6日後に国葬を決断。安倍氏を支持した保守層への配慮からで、政権内は「国葬しか選択肢はない。反対意見があるなら言えばいい」と強気の姿勢を見せていた。
 ところが、逮捕された山上徹也容疑者が、旧統一教会への恨みから犯行に及んだと供述。銃撃事件の背景として報じられるにつれ、風向きが大きく変わった。霊感商法が社会問題となった同教会と自民党議員のつながりが次々に表面化。祖父の代から密接な関係を持つ安倍氏にも焦点が当たった。
 ある自民党中堅は「森友・加計学園問題に続き、安倍氏の怪しい人脈に注目が集まり、いかがなものかという世論になっている」と指摘。政権幹部も「国葬と統一教会の話が一緒くたになっている」と困惑を隠せない。首相が内閣改造・党役員人事の前倒しを決めた理由には、高まる批判をかわす狙いもあるとみられる。
 こうした中、首相の説明ぶりにも微妙な変化が出始めた。国葬を発表した7月14日の会見では、経済再生や首脳外交の成果に触れ、「その功績は誠に素晴らしい」と手放しで称賛。ところが、6日の会見では「内外の業績が指摘され、特に海外から評価がある」と慎重な言い回しにとどめた。安倍氏をめぐり、なお二分する世論を意識したのは間違いない。
 首相は旧統一教会との関係について、各閣僚らに点検、見直しを指示した。ただ、風当たりは強まる一方で、自民党内は「国葬がある9月には反対が7割になる」(中堅)との懸念が拡大。党内の保守派からも「賛否二分では安倍氏の顔に泥を塗る」と危惧する声が漏れる。 
[時事通信社]

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