2022-07-26 20:44World eye

ウェッブ宇宙望遠鏡:科学者は何を学べるか?

【ワシントンAFP=時事】新たに運用が開始されたジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の初画像は息をのむほど美しいが、それだけではない。科学者らが熱心に追究している未解決の謎の鍵となるヒントや手掛かりが多数含まれている。≪写真はジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が撮影した、イータカリーナ星雲の星形成領域NGC 3324≫
 ここでは、科学者が今後、ウェッブ宇宙望遠鏡に期待しているポイントをまとめた。
 ■深宇宙へ
 宇宙のこれまでで最も深遠で鮮明な赤外線画像「ウェッブ初のディープ・フィールド」が、今月11日に公開された。
 白い円や楕円(だえん)は、前景にある銀河団「SMACS 0723」に属する銀河で、太陽が形成されたのとほぼ同時期に当たる46億年以上前の姿を見せている。
 赤みがかった弧を描いているのは、130億年以上かかって到達した古代銀河からの光で、重力レンズとして作用する前景の銀河団の周囲で曲がっている。
 12時間半の露光を要した今回の合成画像は、試験運用の一環と見なされている。さらに露光時間を長くしていけば、宇宙が誕生したビッグバン後の最初の数億年までさかのぼる、史上最遠距離の観測記録を更新するとみられている。
 ■生命居住可能惑星の探査
 ウェッブ望遠鏡は、太陽に似た遠方の恒星を周回する太陽系外惑星「WASP-96 b」について、この高温で膨張した巨大ガス惑星を取り巻く大気に水が含まれることを示す痕跡を捉えた。さらには、大気中に雲やもやが存在することを示す、これまで未検出だった証拠も得た。
 WASP-96 bは、天の川銀河(銀河系)内で確認されている5000個以上の系外惑星の一つだ。だが天文学者らを本当に興奮させるのは、生命を育む可能性のある大気と液体水域を探すために、地球に似たより小型の岩石惑星にウェッブ望遠鏡を向ける計画があることだ。
 ■恒星の死
 ウェッブ望遠鏡に搭載されているカメラは、「南のリング星雲」にある星の墓場を捉えた。星雲の中心には塵(ちり、固体微粒子)に覆い隠された状態で、死にかけた暗い星があることが明らかになり、その星が初めてはっきりと姿を現した。
 天文学者らはウェッブ望遠鏡を用いて、ガスと塵の雲を噴出している南のリング星雲のような惑星状星雲の詳細をさらに踏み込んで調査する予定だ。
 ■宇宙のダンス
 「ステファンの五つ子銀河」は、五つの銀河から成る銀河群で、ペガスス座にある。
 ウェッブ望遠鏡はその中心部を覆う塵とガスの雲を透過し、この銀河群にある超大質量ブラックホール付近から吹き出すガス流(アウトフロー)の速度や組成などに関する最新のデータを収集することに成功した。
 このうちの4銀河は互いに近い距離にあり、接近遭遇を繰り返す「宇宙のダンス」を演じている。
 この集団を研究すれば、「銀河同士がどのように衝突し、融合するかについて知ることができる」と、宇宙学者のジョン・マザー氏は語る。同氏によると、天の川銀河は、より小型の銀河約1000個が集まってできている可能性が高い。
 ■星のゆりかご
 おそらく最も美しい画像は、イータカリーナ星雲の星形成領域「宇宙の崖」を捉えたものだろう。
 この画像では、これまでは隠れて見えなかった星形成領域の存在が、ウェッブ望遠鏡によって初めて明らかになった。これにより、特定の質量を持つ恒星が形成される理由や、特定の領域で形成される恒星の数を決める要因に関する知識がさらに深まると考えられる。
 宇宙の崖は山が連なっているようにも見えるが、ウェッブ望遠鏡のプロジェクトサイエンティスト、クラウス・ポントピダン氏によると、「最高峰」の上から下までは7光年分の距離がある。また黄色い部分は、巨大な炭化水素分子から成っていると説明した。
 ■大きな謎
 米航空宇宙局の天体物理学者アンバー・ストラウン氏は、何より最も心躍るのは、未知の世界への旅だろうと話す。
 ウェッブ望遠鏡に先駆けたハッブル宇宙望遠鏡は、暗黒エネルギーが宇宙の膨張を加速させているという発見に重要な役割を果たした。「その100倍も強力な観測機器を使って何が学べるか、想像するのも難しい」とストラウン氏は語った。【翻訳編集AFPBBNews】

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