2022-07-20 13:56World eye

1日最大18時間…酷暑のリビア、慢性的停電に国民の忍耐も限界

【トリポリAFP=時事】「これが私のベッドルームだ」。戦火で国土が荒廃した北アフリカ・リビアで、マフムード・アグイルさん(48)は、後部座席を取り除いて自身と2人の子どものための睡眠場所を確保した自家用のライトバンを指さした。≪写真はリビアの首都トリポリで、冷房が利いているためマフムード・アグイルさんと子どもたちの寝床になっている自家用車≫
 立派な家があるものの、酷暑の中で慢性的な停電が続いているため、エアコンの利いた自動車で眠らざるを得ない。「朝目覚めると、ひどい背中の痛みに見舞われる」とこぼし、「これが近ごろのわれわれの生活だ」とうんざりした表情を見せた。
 リビアの原油確認埋蔵量はアフリカ最大だが、国民は1日最大18時間にも及ぶ停電を耐え忍んでいる。
 10年にわたる戦争や暴力、深まる貧困、分断した政府に対し、多くの国民の忍耐は限界に達している。首都トリポリや第2の都市ベンガジでは今月、数千人がデモを行い、「働くための照明が必要だ」などと連呼した。
 不発弾を処理する組織で働くアグイルさんは「たとえ電気がきていても、とても弱い。照明をともすのがせいぜいだ」と話す。
 北大西洋条約機構(NATO)が支援した2011年の蜂起で独裁者ムアマル・カダフィ大佐が死亡して以降、治安悪化や燃料不足、インフラの劣化や経済的な苦境に見舞われ、今は危機的な電力不足が国民生活を直撃している。

■すべてひどい状況
 アグイルさん宅の外壁には、幾つもの弾痕が刻まれている。度重なる暴力事件に見舞われてきたリビアを物語るようだ。
 「保健衛生や教育、道路もすべてひどい状況だ。われわれには何もない」と訴える。
 カダフィ政権下のリビアは、原油収入に支えられた寛大な福祉国家だった。しかし、紛争や分断、資源の浪費、インフラの荒廃、石油関連施設の封鎖によって、今や見る影もない。
 約700万人のリビア国民は、燃料を大量消費して排ガスをまき散らす発電機を頼りにしている。もっと良い発電機もあるが、価格は5000ドル(約70万円)程度と高額だ。

■国家の不在
 トリポリに拠点を置くアブドルハミド・ドベイバ暫定国民統一政府首相は、今月新たに三つの発電所の稼働を開始すると述べ、民衆に自制を呼び掛けた。
 一方、東部では、元内相のファトヒ・バシャガ氏がトブルクの「議会」やハリファ・ハフタル司令官の支持を得ている。
 ドベイバ氏がバシャガ氏に権力を引き渡すよう圧力をかけるため、東部の支持者はここ数か月、主要な石油関連施設での生産を制限している。
 ベンガジに住むアハメド・ヘッジャージさん(42)は障害のある4歳の息子を抱え、無力感に包まれている。使用する医療器具には電気が必要だが、停電により治療に重大な支障を来している。
 ヘッジャージさんは「(体制は)われわれが電気を使えるよう保証しなければならない」と述べた。
 イスラム教の犠牲祭(イード・アル・アドハ)の前に、「お金を引き出すために早い時間帯に銀行に行ったが、午後3時まで並ぶ羽目になった」という。
 「なぜかって? 国家が存在しないからだ」【翻訳編集AFPBBNews】

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