2022-07-04 14:11World eye

中国伝統薬でロバ皮需要増 アフリカで生息数激減

【マガリスブルクAFP=時事】サイからセンザンコウに至るまで、中国の伝統薬の材料として需要が高いアフリカの動物たちが、密猟で追い立てられている。今、脅威にさらされているのはロバだ。≪写真は南アフリカ・マガリスブルクにあるロバ乳製品メーカー「ドンキー・デーリー・ファーム」の農場で飼育されているロバ≫
 ロバの皮からつくられるにかわ(ゼラチン)は「阿膠(あきょう)」と呼ばれ、かつて皇帝らが重宝したが、最近では中国の中間層の間で人気を集めている。
 サイの角に由来する生薬「犀角(さいかく)」と同様、阿膠にも抗凝血剤や媚薬としての効能があるとされている。
 だが、その需要により、ブルキナファソからケニア、南アフリカに至るアフリカ諸国ではロバの生息数が激減。ロバのミルクからせっけんやクリームを製造する業界にも大きな影響が出ている。
 ロバの乳製品を製造・販売する「ドンキー・デーリー・ファーム」の共同創業者、ジェシー・クリステリスさんは「南アフリカでは、中国向け皮取引のための違法な解体処理のせいで、ロバの数が急速に減っています」と指摘する。
 南アフリカ大学の最近の調査によると、ロバの生息数は1996年の21万頭から、2019年には14万6000頭に減少した。
 これによってロバの価格は急騰。クリステリスさんによると、5年前にはロバ1頭当たり競売で30ドル(約4000円)前後だったが、今では125ドル(約1万7000円)ほどする。
 それでも中国での取引と比べればかなり安価だ。中国では、2018年には473ドル(約6万4000円)だったロバ皮の価格が、現在1160ドル(約15万5000円)となっており、またロバ皮からつくられる阿膠の価格も、1キロ当たり最高で360ドル(約4万9000円)にもなる。
 南アフリカから中国には毎年、約1万500頭分のロバ皮が合法的に輸出されているが、密輸を考慮すると、実際の取引量はこれをはるかに超えると思われる。

■「アフリカ全土のロバの酪農業を脅かしている」
 阿膠の市場規模についての情報は少ない。だが英国を拠点とする動物愛護団体「ドンキー・サンクチュアリ」によると、2019年の中国市場には推定500万枚のロバ皮需要があった。
 対照的にロバの乳製品市場はまだ黎明(れいめい)期だが、2026年には世界で1600万ドル(約21億6000万円)規模に達すると予想されている。
 ケニアはロバ皮取引による個体数の激減を受け、2020年にロバの解体処理を禁止した。
 農場でロバ116頭を飼っているクリステリスさんは「ロバ皮の取引が、南アフリカはじめ、アフリカ全土のロバの酪農業を脅かしていることに疑いはありません」と語る。
 ロバのミルクには抗酸化作用、抗菌性、抗糖尿病作用があるとされている。「主に湿疹や乾癬(かんせん)といった症状がある人々からの需要が増えています」とクリステリスさん。だが、「ロバの数が減っているので、その需要を満たせるのかどうかは分かりません」と語った。【翻訳編集AFPBBNews】

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