2022-06-27 14:54World eye

ロヒンギャ難民でトランスジェンダーの美容師、二重の偏見と闘う

【クトゥパロンAFP=時事】ターニャさん(22)は少数派中の少数派だ。ミャンマーのイスラム教徒少数民族ロヒンギャで、トランスジェンダーの美容師でもある。世界最大の難民キャンプに暮らす人々の中でも特に多くの差別に直面してきた。≪写真はバングラデシュ・クトゥパロン難民キャンプに近い美容サロンで働くターニャさん≫
 5年前、ミャンマー軍によるロヒンギャ弾圧を受けてバングラデシュに逃れた約75万人の難民の中に、ターニャさん一家もいた。
 ターニャさんは避難先のコックスバザールで指折りの美容師の一人に数えられるようになり、他の多くのロヒンギャよりも高い収入を得られるようになった。
 しかし、保守的なイスラム教徒であるロヒンギャの仲間から嫌がらせを受け、家族からは責められ、今も闘っている。
 「幼い頃から女の子のようにドレスアップしてメークするのが好きでした。家族はそれを嫌がり、兄たちにはよく殴られました。私のことを恥だと思ったのでしょう」
 10代前半にトランスジェンダーであることを周囲に伝えてからは、暴力や虐待にさらされてきたと言う。「悪魔の呪いだとか、アラーの罰だとか言われていました」
 バングラデシュに避難したロヒンギャ難民のうち、トランスジェンダーであることを公言しているのは約300人で、日常的に他のロヒンギャ難民からの差別や嘲笑、身体的攻撃の対象となっている。
 支援者の一人は、「ロヒンギャのトランスジェンダーの人々が無残に殴られ、道端で血まみれになっていることも少なくない」と話す。

■「男か女か誰も気にしない時」
 ターニャさんは、コックスバザール郊外のクトゥパロン難民キャンプで美容サービスを始めた。ある実業家がその才能に気付き、ターニャさんが働けるようキャンプ外のマーケットにサロンを開設してくれたのだ。
 その稼ぎのおかげで、キャンプで同居する家族もある程度は一目置くようになった。とはいえ、ターニャさんがトランスジェンダーであることを受け入れてはいない。
 姉のグル・バハルさんは、今もターニャさんのことを元の男性名で呼び、「元に戻ってまた兄たちのようになってほしい」とAFPに語った。「彼(ターニャさん)が道を歩くと、みんなが笑います。時々、家の前まで追いかけてきてばかにするのです」
 ターニャさんは嘲笑や罵倒をばねに決意を固め、ロヒンギャのトランスジェンダーコミュニティーのリーダー役を買って出るようになった。コミュニティーの数人を対象にサロンで美容ビジネスについて教えてもいる。
 その一人で、研修生としてサロンで働くファルハナさんは「ただ道を歩いているだけで、私たちは男娼と呼ばれます」とAFPに語った。
 「もし私たちが反応すれば、集団で殴りかかってきます。ターニャは、そうした嘲笑を無視するすべを教えてくれました」
 ターニャさんはいずれ自分でサロンを立ち上げ、他のトランスジェンダーの人々を雇って一緒に働き、難民キャンプで爪はじきや侮辱を受ける生活から解放される場を提供したいと考えている。
 「私の体が男か女かなんて、誰も気にしない時が来るのを夢見ています」【翻訳編集AFPBBNews】

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