2022-06-21 18:00経済/写真

「脱中国」で強制労働阻止=世界に影響波及へ―米ウイグル禁輸法施行

ウイグル強制労働防止法施行後の流れ
ウイグル強制労働防止法施行後の流れ

 【ワシントン、北京時事】中国・新疆ウイグル自治区からの輸入を原則禁止する米国の新法「ウイグル強制労働防止法」が21日、施行された。人権侵害を理由に世界経済の「脱中国依存」を進めるのが狙いで、日本を含む世界の企業はサプライチェーン(供給網)の末端まで点検を迫られる。中国は猛反発しており、制裁と報復の応酬に発展すれば影響が広がるのは必至だ。
 新法は、新疆で「全部または一部」が生産された製品の米国への輸入を原則禁止。強制労働を利用した中国原産品や、第三国を経由した製品も禁輸対象に含める内容で、企業側は輸入品が強制労働とは無関係であることの立証責任を負う。禁輸は8年続く。 
 米税関当局から貨物を差し止められた輸入企業は、米政府がブラックリストで指定した約20の中国企業・団体との取引がない証拠などを30日以内に示す必要がある。反証期間は従来の3分の1に短縮された。昨年1月に日本の「ユニクロ」製シャツが差し止められた際、原材料生産への関与が疑われた中国共産党の傘下組織「新疆生産建設兵団(XPCC)」も指定団体に含まれる。
 禁輸対象品目も大幅に拡大された。米政府は重点的に監視する品目として、アパレルや綿製品、シリコン原料「シリカ」を使った製品、トマト製品を指定したが、新法の適用は「特定の産業に限らず全面的に行う」(税関当局)構えだ。シリカは太陽光パネルや自動車部材、電子機器など幅広い製品に使われており、日本のメーカーも原産地の追跡作業で大きな負担が予想される。
 米税関当局が例外として輸入を認めた場合は、米議会への報告が義務付けられる。例外扱いの妥当性が公に問われるため、「輸入許可のハードルは非常に高い」(税関当局)とみられている。
 強制労働をめぐっては、昨年の先進7カ国首脳会議(G7サミット)首脳宣言にも根絶に向けた連携強化が盛り込まれた。一方、中国は外国の制裁に報復できる「反外国制裁法」を制定しており、多国籍企業が米中対立のあおりを受ける恐れも強まりそうだ。
 中国外務省の汪文斌副報道局長は21日の記者会見で、「米国の覇権的本質を示しており、強く非難し、断固反対する」と反発。中国側の権益を守るため「強力な措置を取る」と対抗策を示唆した。

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