2022-05-23 16:13経済/写真

世界貿易「安定重視」に転換=中国の脅威に対抗―IPEF

インド太平洋経済枠組みのルール分野
インド太平洋経済枠組みのルール分野

 バイデン米政権が新たな経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」で目指すのは、世界経済の秩序に挑戦する中国の脅威から国益を守る「経済安全保障」の確保だ。関税引き下げによる貿易拡大に主眼を置いた従来の通商戦略から転換。有事を見据え、半導体といった重要物資の安定調達に軸足を置く協調体制の構築へとかじを切る。
 IPEFは米国が主導し、民主主義の価値観を共有する国や地域が貿易・投資上の共通ルールを設ける枠組み。デジタル経済を含む「貿易」や「サプライチェーン(供給網)強化」など4本柱で構成し、関税引き下げはうたっていない。
 新型コロナウイルス禍、ロシアのウクライナ侵攻により、世界的な供給網のもろさが露呈した。半導体やレアアース(希土類)を囲い込む中国などを締め出し、供給網の抜本的な再編を目指す上で、「信頼できる国との自由で安全な多国間連携」(タイ米通商代表部代表)がカギとなる。
 米国がIPEFを立ち上げたい背景には、戦後の国際貿易ルールを支えてきた世界貿易機関(WTO)の機能不全もある。中国は世界貿易量のシェアで首位となったものの、ルールを無視して自国経済を発展させる姿勢が問題視されてきた。
 さらに、安価な製品の輸出攻勢で米国の「中国依存」が進み、保護主義を広げる要因となった。米政権はIPEFの発足がこうした流れを変える「歴史的な転換点」(レモンド商務長官)になると位置付けている。
 一方、IPEFは環太平洋連携協定(TPP)のような自由貿易協定(FTA)とは異なる。議会承認の要らない政府間合意で法的拘束力はなく、米国の政権交代で頓挫するリスクもある。米戦略国際問題研究所(CSIS)のマイケル・グリーン上級副所長は、参加国がメリットを享受できる条件を盛り込むなど「実効性の担保」が課題だと指摘する。 (時事)

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