米韓首脳、「民主主義」旗印に連携=中朝にらみ行動強調―日韓関係、陰のテーマに
【ソウル時事】バイデン米大統領と韓国の尹錫悦大統領は初の首脳会談で、同盟関係の立て直しを急いだ。ロシアのウクライナ侵攻が国際秩序を揺るがし、アジアでも中国や北朝鮮が力による現状変更を画策する中、「自由・民主主義」を旗印に連携を強調。一方、「戦後最悪」と言われる日韓関係の改善も陰の主題となった。
◇新政権に期待
米国にとって訪韓の最大の目的は、韓国の「脱中国依存」だった。バイデン氏はコロナ禍でサプライチェーン(供給網)が混乱した反省を踏まえ、「価値を共有する国々と供給網を強化する」と強調。半導体や医薬品など戦略物資に強みを持つ韓国を「何とか陣営に取り込みたい」(米政府関係者)思惑があった。
対北朝鮮でも韓国の重要度は増している。ロシアの侵攻後、北朝鮮は核戦力強化を鮮明にし、先制使用さえ辞さない姿勢を示す。米朝交渉が停滞する中、同盟強化による抑止力の確保が急務となっていた。
尹氏の就任12日目という異例の早さの会談も、アジア初の訪問先に韓国を選んだのも、中朝に毅然(きぜん)とした態度を示す尹政権への期待の表れといえる。
◇対北圧力に転換
「インド太平洋地域の秩序を一緒に構築していく」。尹氏は記者会見で、米国のグローバル戦略との連帯を強調し、同盟再構築を図った。米国が主導する「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」に参加するなど、「言葉だけでなく行動」(尹氏)で米国との絆を強めようとした。
2017年に在韓米軍に配備され、中国の猛反発を買った迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」をめぐっては、中国による経済報復で韓国内に反感と恐怖が拡散。「米国が擁護してくれなかったという不満」(外交筋)も残った。尹氏は「まずは価値を共有する国同士で連帯を構築する」と言い切り、米側との不協和音の解消に努めた。
対北朝鮮では、尹氏は「強力な抑止力が何よりも重要だ」と強調した。対話重視の文在寅前政権から一転、「力による平和」を追求する姿勢を見せた。米韓は今後、非核化の進展は当面困難という現実的認識を背景に、戦略爆撃機や空母などを朝鮮半島とその周辺に展開し、圧力をかける方向だ。
◇米の仲裁
首脳会談の隠れたテーマは、日韓関係の改善だった。バイデン氏はオバマ政権の副大統領時代に日韓の仲介に奔走し、「夫婦仲を取り持った」と語ったことがある。バイデン氏は会見で、日米韓3カ国の連携が「極めて重要だ」と指摘。「東京でも議論する」と述べ、岸田文雄首相に関係改善を促す考えを示した。
米政府筋によると、米側は元徴用工判決をめぐり、韓国側に日本企業の資産現金化の回避を、日本側に韓国向け輸出規制の見直しを求めている。
中国、北朝鮮との緊張が高まる中、尹政権にとっても、日本との関係修復は喫緊の課題だ。韓国高官は会談後、「信頼を重ね少しずつ(日韓関係の)障害を取り除いていく」という共通認識が日米韓の間にあると説明した。尹政権は「中国を排除していない」とも表明しており、対日関係に加え、米中のはざまでも難しいかじ取りを迫られる。
[時事通信社]
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