元ワグネル傭兵、ロシア批判 「外国への軍事介入停止を」
【AFP=時事】元ロシア兵のマラト・ガビドゥリンさん(55)は、ロシア民間軍事企業「ワグネル」の傭兵(ようへい)として5年近く働いた。ウクライナ東部やシリアに派遣されたこともある。≪写真はガビドゥリンさん。仏パリにて≫
だが、ウクライナでの戦闘が続く今、ガビドゥリンさんはウラジーミル・プーチン政権は外国への軍事介入を停止し、ロシア国民の生活改善に注力すべきだと考えている。
謎に包まれたワグネルは、プーチン政権下の近代ロシアにおいてここ10年、最も物議を醸す存在となっている。所属する傭兵は、シリアやウクライナ以外にリビア、中央アフリカ、マリなどアフリカ諸国にも派遣されている。
ガビドゥリンさんは、2015年から19年までワグネルに勤務した。今年、ワグネルに関する書籍をロシア国内で出版。同社の元傭兵として初めて、同社を批判した。著書はフランス語にも翻訳された。
ガビドゥリンさんはAFPのインタビューに応じ、ワグネルは「小規模な軍隊のようなものだ」と語った。
ロシア政府が傭兵を使っていることや、時には道徳的規範・価値に相反するようなことを傭兵にやらせているのを明らかにしたかったと話す。
戦う以外の仕事を知らない百戦錬磨の兵士や、戦争を経験してみたい「ロマンチスト」もいるが、傭兵の大半は月何千ドルにもなる報酬目当てだという。
「ロシアでは、この額を稼げる場所は他にない」
ガビドゥリンさんは、ロシアの正規軍にも10年勤務した。犯罪組織のトップを殺害したことから3年服役したこともある。ガビドゥリンさんいわく、借りを返したのだという。
知人のつてをたどってワグネルに入った。
チェーンスモーカーのガビドゥリンさんはAFPに、15年にはウクライナ東部の親ロ派武装勢力と共に戦い、19年までシリアで複数の作戦に加わったと話した。
AFPはガビドゥリンさんの経歴について裏付けを取れていない。
本の出版後、身の安全のためロシアを離れ、現在はフランスで暮らしている。
■普通の車が買えない
シリア・パルミラ近郊に派遣された際には、手りゅう弾で重傷を負った。だが、ロシアの内戦介入は、シリアにとって何の役にも立たなかったのではないかと今では思っている。
「シリアの国民は、電気も燃料もなく、おなかをすかせ、寒さに耐えている。それだけだ。この点を考えると、介入は何の助けにもなっていない」
ロシア政府は現在、ウクライナでの支配地域の拡大をもくろんでいる。ガビドゥリンさんは、ロシア市民は日々の生活にも苦労しており、国内問題に集中的に対処した方が賢明だと指摘する。
「ロケット弾はあっても普通の車が買えないなんて! ロシア版アイフォーンも製造できていない。私たちは西側の技術に完全に依存している」「まずはこういうことを解決すればよかった。しかし(ロシア指導部は)自分の評価を高めるために小さな戦争で勝利を収める方が重要だった」
さらにガビドゥリンさんは「本当に尊敬され、目標とされるため、国内問題に取り組むべきだった。私たちはウクライナの健全な模範になれた」「そうすればウクライナは私たちを押し返すのではなく、自ら歩み寄ってきただろう」と語った。
ロシア政府は、ワグネルとは一切関係ないと主張している。プーチン氏もワグネルは「民間企業」だとしている。
欧州の政府関係者は、ウクライナ侵攻に傭兵1万~2万人が参加していると指摘したが、うち何人がワグネル所属かは分かっていない。英国防省によると、ワグネル幹部もウクライナ入りしている。
ガビドゥリンさんは、ワグネルとのつながりはないというロシアの主張を一蹴する。「国家の許可がなければ、民間人がこうした兵器を保有することはできない。それ以外あり得ない」
ガビドゥリンさんには「祖国」に戻りたいという気持ちがあるが、先ごろ成立した罰則への恐れから、当面は国外に滞在するとしている。ロシアでは今年、同国軍に関する「偽情報」を報じる行為に最高15年の禁錮刑や罰金を科す新法が成立した。【翻訳編集AFPBBNews】
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