中国空母活動、常態化を警戒=台湾有事想定訓練か―日米試す動きも・防衛省
中国海軍の空母「遼寧」が今月3日以降、沖縄県南方の太平洋で艦載機の発着艦を繰り返している。航空自衛隊の戦闘機が緊急発進(スクランブル)しているが、東シナ海の同県尖閣諸島周辺での警戒監視に加えて2正面の対応を迫られた形だ。中国は年内に3隻目の空母を進水させるとみられ、防衛省は日本近海で中国空母の活動が常態化することを警戒する。
「台湾付近や南西地域においてこのような活動をしていることを重大に受け止めている」。自衛隊制服組トップの山崎幸二統合幕僚長は今月の記者会見で、遼寧の活動に強い懸念を示した。防衛省によると、戦闘機やヘリコプターの発着艦回数は200回を超えた。
酒井良海上幕僚長も会見で、遼寧の運用能力について「発展途上だが、海上自衛隊が予想するよりもっと早くレベルを上げてくることは容易に想像がつく」と警戒した。
防衛省はその活動海域も注視する。遼寧は今月2日に沖縄本島―宮古島間を抜けて太平洋に入り、沖縄県の沖大東島から石垣島の南方を航行。台湾に近い海域にしばらくとどまった。中国軍は今月上旬に台湾周辺で軍事演習を実施しており、遼寧は台湾の東側からも攻撃できる能力を示したとの見方もある。
米軍をけん制するような動きも見られる。石垣島南方から東へ移動した遼寧は沖大東島の南方海域に再び入り、15日も発着艦が確認された。米軍関係者は「台湾有事に横須賀基地の米空母機動部隊が東シナ海に入らないよう、太平洋側で阻止することを想定した動きとも言える」と話す。
政府筋によると、遼寧の艦載機は、日本の領空の外側に設定された防空識別圏付近を飛行。領空侵犯しないよう監視するために空自戦闘機が緊急発進したが、沖大東島までは最寄りの空自那覇基地から約400キロある。同基地からほぼ同距離にある尖閣周辺での対処と重なると現場の負担が増すため、九州の新田原基地(宮崎県)から発進する場合もある。
太平洋側での対応には、小牧基地(愛知県)の空中給油機や空飛ぶレーダーと呼ばれる浜松基地(静岡県)の早期警戒管制機(AWACS)が必要になる。政府筋は「遼寧の行動は日米の対応を試す目的もあるはずだ」と分析する。
[時事通信社]
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