皇室、沖縄に思い寄せる=上皇ご夫妻、11回訪問

太平洋戦争末期の地上戦で多数の民間人が犠牲となり、戦後は米軍施政下に置かれた沖縄県。50年前の本土復帰後も、皇室への複雑な感情は長く拭えなかった。昭和天皇の訪問は実現しなかったが、上皇ご夫妻は11回、天皇陛下も5回訪問するなど、皇室の方々は沖縄に思いを寄せ続けられてきた。
「本日、多年の願望であった沖縄の復帰が実現したことは、誠に喜びに堪えません」。復帰当日、日本武道館で開かれた記念式典でこう述べた昭和天皇。1987年秋の国体で初の訪問が決まったものの、開腹手術を受けて中止となり、「健康が回復したら」との思いがかなうことはなかった。
上皇ご夫妻は皇太子夫妻時代の75年、沖縄国際海洋博覧会出席のため初めて沖縄の地を踏んだ。ひめゆりの塔では火炎瓶を投げ付けられたが、その後も予定通り慰霊を続け、遺族の話に耳を傾けた。即位前にさらに4回、在位中は6回訪れ、戦没者への慰霊を欠かすことはなかった。毎年6月23日の「沖縄慰霊の日」にはご一家で黙とうをささげた。
上皇さまは多くの「琉歌」を詠み、毎年夏にはご一家で沖縄からの「豆記者」との交流を続けた。ご夫妻と長年にわたり親交がある琉球舞踊の人間国宝、志田房子さん(84)=東京都練馬区=は「とても深く沖縄の文化を学ばれている。勉強したから歌が詠めるわけではなく、上皇さまは沖縄の心を本当によくご存じでいらっしゃる」と話す。
天皇陛下は今年2月の記者会見で、豆記者らとの交流について「沖縄について知るとても良い機会でした」と振り返った。本土復帰50年の節目に当たり「私自身も、今まで沖縄がたどってきた道のりをいま一度見詰め直し、沖縄の地と沖縄の皆さんに心を寄せていきたい」と述べた。
志田さんは「上皇ご夫妻の沖縄への思いは、これまでのなさりようを見ている中で、自然と陛下にも受け継がれていると思う」と話している。
天皇、皇后両陛下は15日、沖縄と東京で行われる記念式典にリモートで出席する。即位後初となる沖縄訪問の見通しについて、側近は「両陛下は国民と接する機会を常々お考えで、沖縄に行かれたいお気持ちは当然おありだと思う」と話している。


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