2022-05-09 09:09World eye

意識が高い「ウォーキズム」に反発する保守派の学生たち 米

【シャーロッツビルAFP=時事】政治的に保守的な考えを持つジャックさんは、高校時代には周囲からの風当たりが強かったという。大学生になった今は、同じ考えの仲間と結束して「ウォーキズム(社会問題に高い意識を持つよう呼び掛ける主張)」に対抗している。≪写真は米バージニア州シャーロッツビルにあるバージニア大学のキャンパス≫
 米首都ワシントン南方に数時間離れたバージニア州シャーロッツビルにあるバージニア大学のキャンパスで、ジャックさんは姓を明かさない条件でAFPの取材に応じた。高校生の頃は「偏屈だ、考え方が古い」などと悪口を言われていたという。
 「政治観を理由に仲間外れにされていたのです」と話し、自らを「穏健な保守派」と評した。
 ジャックさんはウォーキズムに反発する学生の一人だ。伝統的にリベラルなバージニア大学の校風が、ウォーキズム一色になっていると批判する。
 ウォーキズムやウォークネスという言葉は、米国で制度的な人種差別や不公正といった問題への関心を喚起するためのスローガンとして使われていたが、現在では広く転じて「ポリティカルコレクトネス(人種・性別・信条などによる偏見・差別のない中立的な表現)」や左派的信条をやゆする表現として、政治用語のトレンドとなっている。
 ジャックさんは大学で、「ヤング・アメリカズ財団」という学生団体のイベントに参加するようになった。同団体は、コメンテーターや政治家、ラジオ番組の司会者らを招き、「米国をいかにしてウォーキズムの左派から救うか」をテーマにした講演会を開いている。
 今春は、著名なゲストを招いた。ドナルド・トランプ前政権で副大統領を務めたマイク・ペンス氏だ。

■ウォーキズムへの反感あおって保守派にアピール
 会場の講堂では、学生たちに合衆国憲法の縮刷版やロナルド・レーガン元大統領のバッジやステッカーが配られた。そこには「ポリティカルコレクトネスではなく、言論の自由を支持する」と書かれていた。
 ペンス氏は、満員の聴衆を前に「政治的教化」を糾弾する長広舌(ちょうこうぜつ)を振るい、そうした風潮によって「愛国教育」が追いやられてしまったと主張した。
 質疑応答の時間に学生の一人が持ち出したのは、米大学女子水泳でバージニア大学の選手が2位になり、ペンシルベニア大学に所属するトランスジェンダーのリア・トーマス選手が優勝した件だった。数年前まで男子チームに所属していたトーマス選手の女子選手権への出場をめぐっては、大きな論争が起きている。
 発言した男子学生は「わが校の素晴らしい伝統が、ウォークの左派によって壊されています」と失望を示し、トーマス選手を出場させるべきではなかったと訴えた。
 ペンス氏はすかさず、真の優勝者は2位の選手だと同調。「左派の多くは長年、文化戦争をあおってきた」とし、「うまくいっているようにも見えたが、敗北しつつあるようだ」と語り、大きな拍手を浴びた。
 ペンス氏の言葉を聴いていた同大の政治学教授で政治アナリストのラリー・サバト氏は、大学のキャンパスや選挙集会、ソーシャルメディアを通じてウォーキズムへの反感をあおることで、保守派の有権者を動員する明確な戦略だとの見方を示した。
 共和党支持者の中でもこうしたメッセージ戦略を最も受け入れやすいのは、「予備選挙や党員集会に参加するような人々」だという。
 サバト氏が例に挙げたのは、昨年11月のバージニア州知事選で共和党から出馬し当選したグレン・ヤンキン氏だ。同氏は選挙戦で、人種やジェンダーをめぐる学校教育が左傾化しているとされる傾向を阻止すると訴え、この公約を重点的にアピールした。
 サバト氏は、人種とジェンダーという論争になりやすいテーマが、今年11月の中間選挙および2024年の大統領選の争点になるとみている。
 ペンス氏はウォーキズムに照準を合わせ、勢いに乗って再びホワイトハウス入りを目指すのだろうか。
 この質問にサバト氏は静かに笑い、こう答えた。「それへの回答は、いずれまた」【翻訳編集AFPBBNews】

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