2022-04-06 09:23World eye

ロシアから帰国すべきか…選択迫られる中央アジアの労働者

【AFP=時事】タジキスタンの首都ドゥシャンベで報道関係の仕事をしているエモマリ・サファロフさん(24)。ロシアに出稼ぎに行き、建設作業現場で働いていた。今は、給料は安いが、自国で元の職業に復帰した。≪写真はキルギスの首都ビシケク近郊の国際空港で、ロシアから帰国した男性≫
 これからどうするか、考えていない。ロシアがウクライナに侵攻した2日後、西側諸国の対ロ制裁が発動される中、ロシアからぎりぎり脱出できたことにほっとしている。
 「ロシアで30年以上働いているという出稼ぎ労働者の話を聞いた。口々に、今のロシアは昔とは全く違うと言っていた。状況は非常に悪い。働くのもとても難しくなっている」と語った。
 求人が減ったロシアで、暴落した通貨ルーブルで給料をもらい続けるか、もしくは求人はさらに少ないものの家族が住む故郷に戻るか。旧ソ連の構成国だった中央アジアの国々から何十万人も来ている出稼ぎ労働者は、選択を迫られている。
 ロシアのウラジーミル・プーチン氏が大統領に就任してから最初の2期は、エネルギー価格の上昇を追い風に、タジクなどから労働者がロシアに押し寄せた。
 タジクでは、国外に出稼ぎに出ている労働者からの送金が国内総生産(GDP)の25~40%程度を占めている。
 しかし、2014年のロシアによるウクライナ・クリミア半島併合に対する西側諸国の制裁や石油価格の下落などにより、送金額は減っていた。
 さらに今回のウクライナ侵攻で、ルーブルの価値は約5分の1低下。西側諸国は今年のロシアの経済成長率はマイナス5~10%にまで落ち込み、23年もマイナス成長が続くと予測している。
 タジクは旧ソ連構成国の中でも最も貧しく、平均月収は100ドル(約1万2000円)程度。人口950万人の大半はイスラム教徒だ。
 サファロフさんによると、侵攻前にはモスクワやクリミアの工事現場で月700ドル(現在のレートで約8万6000円)稼げれば、家族に200ドル(同約2万5000円)を送金できた。

■GDP8割が国外からの送金
 ドゥシャンベ中心部の銀行前に集まっていた女性たちは3月初め、ロシアからのルーブル建ての送金は減っていると語った。ルーブル下落の影響でタジク通貨ソモニも約14%下落している。
 息子がモスクワで配達員をしているという女性は、送金額は10~20%減ったと話した。
 タジクの隣国、人口700万人のキルギスでは、国外からの送金がGDPの8割を占めており、国内経済はロシアの景気に大きく左右される。
 ロシア・シベリア地方の都市ノボシビルスクのキルギス人会で幹部を務めていたというチナルカン・シディコワさん(51)は、家族の介護のため首都ビシケクに戻って来た。
 シディコワさんはAFPに対し、まだロシアにいるキルギス人の知人から何度も電話がかかってきて、帰国方法や求人状況などについて質問されたと語った。
 シディコワさんによると、キルギス人はロシアの主要都市で小売業や飲食業などで働くことが多い。そのため、西側諸国の経済制裁で、米ファストフード大手マクドナルドなど欧米の有名ブランドが相次いで撤退・休業したことによる影響を特に受けているという。
 キルギス国内には失業者が10万人以上いるとシディコワさん。「(出稼ぎ労働者が)戻って来たらどこで働くのか、どうやって家族を養うのか。大きな問題だ」と漏らした。【翻訳編集AFPBBNews】

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