占領下の市民、続く非暴力抗議=「怖いが黙っていられない」―食糧難から略奪も・ウクライナ南部メリトポリ
ロシアのウクライナ侵攻から16日目となった11日、ロシア軍の占領下でも平和と自由を求めて抵抗を続ける都市がある。クリミア半島に近い南部メリトポリもその一つ。中央広場では連日、一部市民が集まりウクライナ国旗を掲げる。「怖い。でも黙ってはいられない」。食糧難から略奪も発生する極限状態の中、非暴力の抵抗が続く。
「とても多くの軍用資機材が街外れに置かれていて、毎日のように他の街へ砲撃が行われている。この街から出るのは危険なの」。現地時間の10日午後、メッセンジャーアプリを通じて取材に応じたアレシャさん(38)はこう証言した。
侵攻2日後の2月26日、ロシア側が制圧したと発表し、3月1日に市長が占領を認めた。テレビ塔も制圧され、程なくウクライナの放送が沈黙した。各家庭のインターネット回線はつながらなくなり、無線通信のWi―Fi(ワイファイ)接続も途切れがちだ。
ラジオでロシアの宣伝が一方的に流れる中、一部の市民が広場に繰り出し、抗議の声を上げる。「デモは1日ごろから始まり、毎日正午に開かれている。最初の数日は300人ほどだったけれど、今は1000人以上が参加している」とアレシャさん。「拘束された人はいないけど、皆怖い。でも何かを変えたいと思うなら黙ってはいけない」と、自身も足を運ぶ。
銀行の前には早朝から現金を引き出そうと長蛇の列ができるが、医薬品も事欠く状況で、大型スーパーには食料品が運ばれてこない。アレシャさんは「地元の企業家や農家に助けてもらっている」と明かすが、インターネット交流サイト(SNS)には市民の略奪に遭う商店の動画も出回る。「街全体が停電した時、略奪の被害を受け、すごく危険だった。人が人でなくなってしまった」と書き込んだ。
昨秋までドイツで介護職として出稼ぎしていたアレシャさんは、今は健康状態の良くない高齢の母と2人暮らしだ。「経済はただでさえもろかったのに、私たちは混乱の中に取り残される。人は犠牲にしていい『動物』ではない」と訴えた。
[時事通信社]
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