4回目の接種開始 ワクチン先進国イスラエルのオミクロン株との闘い
【エルサレムAFP=時事】イスラエルの新型コロナウイルスへの対応は、世界中で注目されてきた。特に関心を集めたのが、ワクチン接種の迅速な実施と、科学的な裏付けが広く認められていないうちに3回目の追加接種(ブースター接種)をいち早く決定したことだ。≪写真は資料写真≫
そして今、イスラエルが直面しているのは、変異株「オミクロン株」によって前例のない速さで感染が広がっている問題だ。
政府は、感染者が急増しているにもかかわらず、今のところロックダウン(都市封鎖)などの制限を再導入していない。感染がピークを越えるまであと数週間はかかる恐れがあるが、現在の感染の波は乗り切れると主張している。
■「イスラエルの三つの指針」
昨年11月にオミクロン株がアフリカ南部で初めて確認されると、イスラエルは直ちに厳しい入国制限を導入した。
「賢明な策だった」と、イスラエル・テルアビブ市近郊にあるバルイラン大学のシリル・コーエン教授(生命科学)は振り返る。結果として、国内で感染が広がるまでに猶予が生まれ、新たな感染の波に備える時間が稼げたという。
しかし、その間に政府は検査能力を十分に高めることができず、国民は不満を募らせているとコーエン氏は述べた。
国内で感染者が急増し、ナフタリ・ベネット首相は今月9日、今後数週間で200万~400万人が感染する恐れがあると明言したが、政府は移動制限について、経済に打撃をもたらすだけでその他の効果はほとんどないと判断。航空便の運航を再開し、飲食店、ジム、礼拝所などの利用も引き続き許可した。
コーエン氏はAFPに、政府は事実上、「今回の危機管理の一部を当局から国民に移管した」と指摘した。自主検査や自主隔離に関する根本的な責任を国民に負わせたのだという。
ベネット首相は11日、記者会見で、「イスラエルは三つの指針に従っている。わが国の経済を閉鎖しないこと、社会で最も弱い立場にある人々、つまり高齢者を守ること、そして子どもを守ることだ」と述べた。
一方、イスラエル公衆衛生医師会のハガイ・レビン会長はAFPに、「通常の生活を続ける」という同国の決定は必然的に「多くの感染者」を出すことになると語った。
レビン氏は、ロックダウンを再導入しない政府の決定を支持しつつ、「方針をころころ変えていると混乱を招き、政府が状況をコントロールできていないとの印象を与えるが、それは事実だ」と指摘。政府はオミクロン株による感染の波をコントロールできていないと述べた。
■「科学的に証明されていなくても」
イスラエルでは、国内に住む成人の80%以上が新型ウイルスのワクチンを2回接種しており、50%以上が3回目の追加接種を受けている。
ベネット首相は昨年12月、オミクロン株に対処するため、世界に先駆けて4回目の接種を実施する意向を表明。効果に関する科学的な根拠が乏しい中、政府は感染リスクの高い人々を対象とした4回目の接種に踏み切った。
「イスラエルは、科学的に証明されていなくても、論理的根拠で物事を進めることに積極的な国だ」とレビン氏は言う。
「やって損はないというケースも時々ある。初回と3回目の接種がそうだった。迅速に実施したやり方が、今振り返れば功を奏した」
イスラエルのシェバ医療センターの予備データによれば、4回目の接種を受けた場合、抗体が著しく増加していることが確認された。
だがコーエン教授は、4回目の接種に意義があると結論付けるには時期尚早だと指摘する。
重症化リスクが高い人々への接種を認める判断は理解できるとしながら、「3回の接種より効果があるのか、まだ分かっていない」と付け加えた。【翻訳編集AFPBBNews】
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