2021-12-08 12:45World eye

サッカーから音楽へ シャペコの生き残りが見つけた新たな人生

【サンパウロAFP=時事】ジャクソン・フォルマンさんは、飛行機のエンジンが止まり、目の前が真っ暗になった瞬間を今でも覚えている。その後の激痛と、降り注ぐ雨の冷たさも。≪写真はブラジル・サンパウロの病院でリハビリに励むジャクソン・フォルマンさん≫
 もうろうとした意識の中で、フォルマンさんは助けてくれと声を上げ、やがて機体の残骸のすき間から、懐中電灯の光が差し込むのが見えた。
 ブラジルのサッカーチーム、シャペコエンセの面々を乗せた飛行機の墜落事故から、11月28日で5年がたつ。フォルマンさんらを乗せたチャーター機は2016年、コパ・スダメリカーナの決勝へ向かう途中に燃料切れを起こし、コロンビア第2の都市メデジン近郊の山岳地帯で墜落した。
 事故では71人が命を落とし、フォルマンさんは6人の生き残りの一人となったが、右脚の膝から下を失った。突然サッカー選手としてのキャリアを絶たれたかつてのGKは、そこから必死に人生を立て直し、29歳になった今、講演活動とブラジルのカントリー音楽「セルタネージョ」に新たな生きがいを見いだしている。
 フォルマンさんはAFPによるインタビューで「子どもの頃、自分には二つの大きな夢があった。最初はサッカー選手になることができて、あのような運命が訪れたが、今は音楽のおかげで第2の夢を生きている」と話した。
 墜落事故では13か所の骨を折り、そのうち二つは頸椎(けいつい)骨折という重傷で、2か月の入院生活を送った。それでも現在は、セルタネージョで4枚のシングルを出すことができている。乗り越えられたのは、音楽とキリスト教のおかげだという。
 「事故の後、自分には二つの選択肢があった。じっと座って自分の境遇を嘆くか、それとも顔を上げて人生に向き合うか」と話すフォルマンさん。彼が選んだのは後者だった。
 右腕には、シャペコエンセのユニホームを着た自身が義足を着けて階段を上り、空には大きなハトが飛んでいるタトゥーを入れた。2019年までには十分に回復し、ミュージシャンを発掘するリアリティー番組に挑戦すると、ただ参加するだけでなく、セルタネージョの楽曲で観覧客の心をつかみ、優勝を果たした。
 ミュージシャンという新しい仕事は、サッカー選手と似ているところがあるという。「サッカー選手は毎日練習する。それは音楽も変わらない」とフォルマンさんは話す。
 新しい目標もできた。フォルマンさんは「多くの人に手を差し伸べたい」と語り、「音楽には人生を変える力がある。僕が音楽のおかげで生まれ変われたようにね」と続けた。【翻訳編集AFPBBNews】

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