スペイン「廃材の大聖堂」 計画始めた元修道士の死後も建設続く
【マドリードAFP=時事】スペインの首都マドリード郊外で60年以上にわたり、廃材を利用した大聖堂の建設を続けてきた元修道士のフスト・ガジェゴ氏が11月末、96歳で死去した。≪写真はスペインの首都マドリード郊外メホラダデルカンポで、廃材を利用して建設中の「フストの大聖堂」の中に飾られた元修道士のフスト・ガジェゴ氏の写真<手前>≫
メホラダデルカンポにある大聖堂の完成は、アンヘル・ガルシア・ロドリゲス神父が率いる慈善団体「平和の伝道師」に託された。
故ガジェゴ氏は、30代半ばだった1961年、結核のためにトラピスト修道会を退会した後、家族から受け継いだ土地でプロジェクトを開始した。
現在、「フストの大聖堂」と呼ばれているこの建物は、4700平方メートルの敷地に立ち、地下祭室、二つの回廊、12本の塔があるが、中央のドーム(円屋根)は、まだ支柱がむき出しだ。
ガジェゴ氏が建築資材として使用していたのは、建築現場からもらってきたれんがや木材などの廃材だ。プロジェクトが知られるようになって集まった寄付も利用した。柱はドラム缶を積み重ねたもので、窓には色ガラスの破片が接ぎ合わされている。
建物の安全性評価を依頼された土木会社、カルテルの建築技師フアン・カルロス・アロヨ氏はガジェゴ氏について、「今はリサイクルがはやっていますが、誰も口にしていなかった60年前にやっていたのです」と語った。長年、厳しい天候にも耐えてきた建物の構造は「ちょっとした補強」で済みそうだと話す。
■設計図はなし
アロヨ氏によると、英国の著名な建築家ノーマン・フォスター氏は2009年、スペインで授賞式が行われた際にこの聖堂を訪れ、賞をもらうべきなのはガジェゴ氏の方だと本人に伝えたという。
ガジェゴ氏は正式に建築を学んだことがなく、作業は設計図無しで進められた。建物の頑丈さを考えると、これは驚くべきことだ。ガジェゴ氏は生前のインタビューでは常に、大聖堂計画の詳細は「自分の頭の中」にあり、「すべては天から下りて来る」と語っていた。
ガジェゴ氏の聖堂が立っているのは、アントニ・ガウディ通り。東部の大都市バルセロナを象徴する未完の大聖堂サグラダ・ファミリアの設計者の名を冠した道だ。
サグラダ・ファミリアとは異なり、フストの大聖堂はローマ・カトリック教会から教会として正式に認められていない。
プロジェクトを引き継いだロドリゲス神父は、ホームレスの人々に食事を提供するレストランの運営やマドリード中心部の教会でのペット受け入れ、タブレット端末iPadを使った告解などでスペイン国内では有名だ。
ロドリゲス神父は、この大聖堂をすべての宗教に開かれた空間とし、貧困層の支援に活用したいと考えている。「どこにでもあるような一般的な聖堂ではなく、祈りをささげるために足を運び、困難に直面したときにも訪ねてもらえる社会的な拠点になるでしょう」【翻訳編集AFPBBNews】
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