2021-11-15 13:05World eye

コーヒーも細胞培養で「持続可能」に フィンランドで開発

【AFP=時事】私たちが飲むコーヒーは将来、農園ではなくペトリ皿の中でできたものになっているかもしれない──。持続可能なコーヒーを目指して培養技術を開発した研究者は、こんな見通しを示している。≪写真は培養コーヒー≫
 「これは正真正銘のコーヒーです。コーヒー以外のものは一切入っていません」。AFPの取材に応じた研究者のヘイコ・リッシャー氏は、薄茶色の粉が入った皿を指さした。
 リッシャー氏はフィンランド技術研究センター(VTT)で植物バイオ技術チームを率いている。世界中で愛飲されているコーヒーを大量生産するには環境問題が付き物だが、VTTが開発したコーヒーは問題の多くを回避できるという。
 このコーヒーは豆からひいたものではなく、バイオリアクター(生化学反応装置)の中で、温度や光と酸素の量を綿密に管理された上でコーヒーノキの細胞から培養されたものだ。
 焙煎(ばいせん)した粉からは、通常のコーヒーと全く同じ方法でコーヒーを入れることができる。
 「コーヒーには生産品として問題があります」とリッシャー氏は言う。温暖化でコーヒー農園の生産性が低下し、農家は栽培面積を増やす必要に迫られ、これまで以上に広大な熱帯雨林の土地を開墾するようになる。
 「輸送の問題もあります。化石燃料の使用も」とリッシャー氏は続けた。「ですから、代替品を探すことは全く理にかなっています」
 研究チームは、培養コーヒーを大量生産した場合の持続可能性について分析しているが、従来のコーヒーを育てるより労働力やリソースは少なくて済むとみている。
 「すでに分かっているのは、例えば、水のフットプリント(生産から消費・廃棄までに使用される水量)は農地での栽培に必要な量よりはるかに少ないことです」とリッシャー氏は言う。

■培養コーヒーの味は?
 コーヒー好きにとって、培養コーヒーの成否の決め手は味にある。
 「従来のコーヒーに比べると、細胞から培養したコーヒーの方が苦味は少ないですね」。官能検査の専門家で、このプロジェクトの味覚検査のチームを率いているヘイキ・アイサラ氏はAFPに語った。カフェイン含有量がわずかに低いためとみられ、フルーティーさも控えめだと付け加えた。
 「そうは言っても、私たちはコーヒー焙煎のプロではありませんので」とリッシャー氏は話し、さまざまな風味が実際に生まれるのは焙煎の工程だと説明した。
 持続可能性が高いコーヒーの代替品を追求する取り組みは、他でも進められている。
 米シアトルのスタートアップ企業、アトモは9月、自社で開発した「分子コーヒー」に関して1150万ドル(約13億円)の資金を調達したと発表。コーヒーノキ以外の有機物を原料とし、分子レベルでコーヒーと同じ風味を調合したとしている。
 米国とカナダでの世論調査によると、培養された代替食物を警戒する見方は根強い。ただ、若い消費者の間ではそれほどでもないという。
 リッシャー氏は、自分たちが開発した培養コーヒーが規制当局に承認され、商業的なサポートを得て、従来のコーヒーと一緒に店頭に並べられるまでには最低4年はかかるとみている。
 コーヒー消費大国のフィンランドで、このプロジェクトは「熱い注目を浴びています」とアイサラ氏は話した。【翻訳編集AFPBBNews】

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