2021-10-13 12:23World eye

米フロリダ沖のサンゴ礁、未知の病気との闘い

【オーランドAFP=時事】米フロリダ州中部の研究所にある海水の大きな水槽。人工太陽照明灯の下、生物学者のアーロン・ギャビン氏はその中で生きている700株以上のサンゴに、小エビを原料とする飼料をピペットで丁寧に与える。≪写真は米フロリダ州オーランドにあるフロリダサンゴ救助センターで、救出されたサンゴの世話をするスタッフ≫
 ここ「フロリダサンゴ救助センター」での取り組みは、米本土水域にある唯一のサンゴ礁を謎の病気から救う最後の頼みの綱かもしれない。
 ギャビン氏のチームはこの水槽の中に、フロリダ州南端沖のサンゴの生息地を丹念に再現した。潮の流れを人工で起こし、魚も現地から取り寄せた。
 チームはこの海域で、原因不明のイシサンゴ組織喪失病(SCTLD)という病気に侵されている18種のサンゴを救おうとしている。
 フロリダキーズ諸島沖の大西洋には、マングローブの林が広がり、魚の群れが素早く泳ぎ回っている。だが、その中に横たわるサンゴは白く脱色し、海底に大きなまだらをつくっている。
 SCTLDは2014年、マイアミの近くで初めて確認された。その後、急速に広がり続け、海の生物多様性の要であるイシサンゴの約半分を死滅させた。現在、この海域のイシサンゴ45種のうち20種超が絶滅の危機にひんしている。
 この病気はさらにカリブ海を渡り、中米メキシコやベリーズのサンゴにまで被害を及ぼしている。
 ギャビン氏のチームの取り組みは、2018年に米海洋大気局(NOAA)とフロリダ魚類野生生物保護委員会が立ち上げた海洋生物保護プロジェクトの一環だ。

■サンゴを海に戻す
 プロジェクトの第1段階は、健康なサンゴの隔離だ。救出された2000近いサンゴの群体(コロニー)は現在、米国の14州にある20か所以上の施設で育っている。
 サンゴを海に戻すのが第2段階だが、サンゴは繁殖が非常に遅いため、実施するまでにはかなり時間がかかりそうだ。
 研究所では救出したサンゴの遺伝的性質を調べている。病気や海水温の上昇、汚染などに抵抗力のある新種を開発するためだ。試みの成否は、この海域に重大な影響をもたらし得る。
 イシサンゴはサンゴ礁として、海洋生物の4分の1の生息地になっている。また外洋と陸地の間で波を和らげてもいる。ハリケーンや暴風雨の際にはとりわけそうだ。
 サンゴ礁が損なわれると、フロリダの観光収入にも響きかねない。ある試算によると、魚釣りやダイビング目的の訪問者を魅了するサンゴ礁は85億ドル(約9600億円)の資産価値があるという。
 キーズ諸島最北端の島キーラーゴに住むスティーブ・キャンベルさん(59)は、今後の成り行きを心配している。小型観光ボートの船長をしているが、商売はすでにサンゴの病気による影響を被っている。
 キャンベルさんは港に立ち、「フロリダキーズでこれまで20年暮らしてきて、海には毎日出ています」と語った。「見ての通り、この海で生計を立てています。観光客をサンゴ礁に連れて行き、見て楽しんでもらうのです…だから、これは私たちにとっては一大事なのです」【翻訳編集AFPBBNews】

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