2021-10-13 12:18World eye

カナリア諸島の火山噴火、猫と一緒に船で避難生活

【タサコルテAFP=時事】スペイン領カナリア諸島に住むもうすぐ結婚60周年を迎える夫婦は、2週間余り続く火山噴火から避難し小さなボートで生活している。≪写真はスペイン領カナリア諸島ラパルマ島のタサコルテ港で、クンブレビエハ山の噴火から避難しボートで生活するマルガレータさん<80>と夫のルイスさん<90>≫
 自宅から逃げるよう指示された時、マルガレータ・ストラーテスさん(80)も夫のルイス・ロドリゲス・ディアスさん(90)も、避難所で暮らす気にはなれなかった。「ボートに乗ったらどうかなと、ふと思いついた」と、元消化器外科医のルイスさんはAFPに語った。
 全長わずか6.4メートルの「ハムラビ」号は、この35年間でエンジンを1回しか交換していない頑丈な小型船だ。噴火を続けるクンブレビエハ山に背を向けて座る夫婦にとって、広さは十分。小さなデッキにはラジオとマルガレータさんのWi-Fi付きパソコン、小型冷蔵庫がある。2人はここで、避難の途中に拾った猫と一緒にのんびり一日を過ごす。
 訪ねてきた人がいれば、船室に招き入れる。狭いため、移動には細心の注意が必要だ。マルガレータさんはかがむのをうっかり忘れて、頭をぶつけたことが3回もあると話す。

■間違った安心感
 2人は溶岩によって地図上からほぼ消し去られてしまった村、トドケの住民だ。「警察が来て、『今すぐ急いで避難してください』と言ったので、着の身着のままで家を出てきた」とルイスさん。
 クンブレビエハ山の噴火がこれほど激しく、大きな被害を伴うものになるとは、2人とも予想だにしていなかった。ラパルマ島では50年前にテネギア山が噴火したが、マルガレータさんによれば「おとなしい火山で、それほど大きな被害はなかった」ため、間違った安心感を持ってしまっていたという。
 それでも2人は陽気で、おしゃべりで、前向きだ。それは、引っ越しを繰り返してきたおかげかもしれない。
 ルイスさんはスペイン北西部の出身、マルガレータさんはオランダ・アムステルダム出身だ。2人が出会ったのは1950年代、医学部を卒業したルイスさんが姉にプレゼントされた欧州旅行を楽しんでいる途中だった。
 「アムステルダムの公園に親友といたら、今まで見たこともないほどセクシーな男性に出会った」と、当時16歳だったマルガレータさんは振り返る。
 2人は連絡先を交換し、しばらくして英領ジブラルタルで結婚した。その頃スペインでは宗教婚しか認められていなかったからだ。夫婦はロンドンに住み、その後、ルイスさんの仕事の都合でアフリカの英植民地ローデシア、現在のジンバブエに移住した。
 ルイスさんはマルガレータさんを連れて1977年、スペインに帰国した。ローデシア情勢が不穏になってきたことと、スペインのフランシスコ・フランコ総統が1975年に死去して独裁政権が終わりを迎えたことが、決断の理由だったという。【翻訳編集AFPBBNews】

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