2021-10-07 13:12World eye

「非致死性」の模造銃で治安悪化のコロンビア 内戦終了でも無法状態

【ボゴタAFP=時事】南米コロンビアでは、街角で「非致死性」と称される銃が合法的におもちゃ程度の値段で売られている。非致死性とはいえ、重傷を負わせる威力があるこうした模造銃が、犯罪多発都市で多数出回っている。≪写真は非致死性の銃。コロンビア首都ボゴタの販売店で≫
 模造銃を買い求めているのは、犯罪者と市民だ。攻撃や護身を目的としている。数十年に及んだ内戦の傷がいまだに癒えていない国で、無法状態が進んでいる表れだと専門家は指摘する。
 模造銃の治安への影響は「致命的」だ、とコロンビアの治安専門家、オルランド・カリーヨ氏はAFPに語った。
 コロンビアのシンクタンク「平和のためのアイデア財団(FIP)」によると、同国での模造銃の販売数は、輸入が合法化されてからの12年間でおよそ160万丁に上っている。
 本物の銃にそっくりで、口径9ミリまたは7.65ミリのカートリッジから弾を発射する。本物との唯一の違いは、弾丸がゴム製であることだ。
 それでも、射程15メートル以内ならゴム弾でも「骨や筋肉に重傷を負わせることができる」とカリーヨ氏は言う。「目や動脈など軟らかい部位に当たれば、命に関わることもある」
 模造銃は元来、標的射撃用のスポーツ銃としてつくられた。コロンビアでは中国とトルコから輸入され、ショッピングモールやスーパーマーケット、街頭やインターネット上などあらゆる場所で売られている。
 首都ボゴタにある店舗のウインドーには、グロック、ストーム・ベレッタ、チェスカー・ズブロヨフカ・ウヘルスキブロッド、ヘッケラー・アンド・コッホなどのレプリカが堂々と展示されている。警察や銃の取り扱いに慣れている専門家でも本物と見間違えそうだ。
 一番の売れ筋はベレッタの「Blow TR92」。イタリア製の本物の銃そっくりにつくられている。
 「面倒な手続き不要。必要なのはお金と身分証明書だけ」と宣伝されているものもある。
 模造銃の値段は1丁約130~400ドル(約1万4000~4万5000円)。グロックの真正拳銃なら1丁約2000ドル(約22万円)するところだが、それに比べれば、非常に安価だ。

■「手がつけられない状態」
 「手がつけられない状態になっている」と、ボゴタで射撃クラブを経営している元警察官の男性は言う。
 「犯罪者が規制を受けずに本物とほとんど変わらない銃を入手し、武装できるようになっている」と話す。「しかも、破格の安値で」
 FIPによると、模造銃の売上総数は2009年の約8500丁から急増し、昨年は19万丁を超えた。これには闇市場での取引分は含まれていない。
 ほとんどは拳銃だが、中には自動小銃のレプリカもある。さらに非合法の真正品の銃も推計420万丁、流通している。
 模造銃を手に入れた後、ゴム弾の代わりに鉛弾やスチール弾を使う人もいる。
 統計はないが、ボゴタ市議会によると、模造銃が犯罪に使用されるケースが増加しているという。
 公式の統計によると、ボゴタでは強盗事件が5分に1件発生。今年の強盗件数は昨年同期比で22.8%増加し、殺人件数は15.3%増加した。カリなど他の大都市での強盗発生率も同様に高い。
 政府は最近、警察を援護して犯罪を防止するため、1500人近い兵士を主要都市に配備した。

■「唯一の手は禁止令」
 昨年8月、ルイス・ロドリゲスさん(35)はボゴタ郊外で、模造銃を持った暴漢に襲われ、片方の目を失明した。
 夜10時ごろ帰宅中、バイクに乗った2人組に模造銃で撃たれ、「衝撃で角膜がずたずたになった」とAFPに語った。
 2016年に政府と左翼ゲリラ組織が和平協定を結び、60年近くに及んだ内戦は表向き終結したが、協定を拒否した反政府ゲリラと麻薬密売組織との縄張り争いが続いており、民間人がたびたび巻き添えになっている。
 犯罪の多発に対処する一環として、政府は法案を策定し、模造銃の所持・携帯を許可制にすることを目指しているとみられる。銃の公式登録や販売条件の厳格化も検討しているとされる。
 しかし、それだけではすでに出回っている大量の模造銃を取り締まれず、かえって闇市場での取引が加速する可能性があると専門家は指摘する。
 「遅きに失した」とカリーヨ氏は政府の取り組みを批判し、「今や唯一の手は禁止令だけだ」と話した。【翻訳編集AFPBBNews】

最新動画

最新ニュース

写真特集