2021-09-17 12:23World eye

山火事に自前の消防車を用意 米加州のワイン製造者

【ナパAFP=時事】貯水タンクや消防車、さらにはヘリコプター。米カリフォルニア州ナパバレーのワイン製造者は、所有地や高価なワインを山火事から守るために消火設備を自前で買い求めている。≪写真は1982年型消防車のホースを点検する米カリフォルニア州アングウィンのワイン製造者ランディ・ダンさん≫
 地球温暖化の影響を受けた記録的な干ばつにより、米国西部では広大な地域が乾燥し、火災が極めて起きやすくなっている。カリフォルニア州中部に点在する世界的に名高いブドウ畑も例外ではない。この地域では、年間数十億ドル(数千億円)相当のワインを生産している。
 火災が驚異的な速さで広がる中、2021年は山火事被害が最悪の年になりつつあり、消火活動も手薄だ。
 「カリフォルニア州森林保護・防火局があちこちで同時に活動できないことは承知している。ここだけではなく、カリフォルニア州の他の所でもずっとできていない」と地元のワイン製造者、ランディ・ダンさんは語る。1979年に80ヘクタールのワイナリーを開業した。
 だが、「何らかの対策を備えてここにとどまれば、チャンスはある。避難すれば、そのチャンスもなくなる」と語る。
 ダンさんは、まだ動く1946年型の消防車を持っているが、最近、1982年型を1台買い足した。
 サイレンは鳴らないが、ホースに問題はない。実地では試しておらず、もっぱらは孫たちとの遊び道具だが、それでも、自分の土地で火災が起きたら、使いこなせる自信があるという。
 購入のきっかけは、昨年、ワイン名産地のナパやソノマ一帯を襲った山火事「グラス・ファイア」の難を逃れたことだった。この火事では全体で約2万7000ヘクタール以上が焼失し、火はダンさんのワイナリーの2キロ近くまで迫った。
 山火事は、森林の自然のサイクルの一部だ。古い植生を焼き、発芽や植物の成長を促す。
 だが、地球の温暖化が進み、気象パターンが変化するにつれ、この地域では山火事の範囲や勢いが拡大し、頻度も増してきた。
 山火事の季節になるたびに、今年はどこまで燃え広がるのかという問題が新たな心配の種になっている。

■森の整備は消防車を数台持つより大事
 ワイン製造者は、自分の土地を守るためには努力が必要だと分かっている。ダンさんは、自分の土地周辺の茂みや樹木を取り除くために数千ドル(数十万円)を投じてきた。
 それでも、保険料と比べれば微々たるものだ。保険料は、今年5倍以上にも跳ね上がって55万ドル(約6000万円)になった。
 ダンさんの息子マイクさんは、ブドウ畑を守る上で土地の整備は必須だと考えている。
 「森の下生えの整備にはものすごく力を入れてきた。これは、消防車を数台持つよりも、ずっと大事だと思う」と言う。
 ダンさんのワイナリーでは、仏ブルゴーニュ産のたるで熟成させたワインを年に数万本生産している。価格は通常、1本85ドル(約9300円)から140ドル(約1万5000円)ほどだ。
 だが、山火事の煙でいぶされてしまった昨年産のワインは、箱ワインとして売るしかなかった。価格は、ボトル1本に換算すると、わずか6ドル(約660円)だった。
 「去年は2度避難した。山火事も近く、この年のワインはだめになった」と息子のマイクさんは言う。「死活問題だ」

■軍用ヘリを消火用に改造
 山火事はカリフォルニア州全土で猛威を振るい、州では最近、消火専用ヘリコプター1機とハイテク火災検知カメラを導入したが、リソースの面で消防活動が追いつかないのではないかと多くの人々が懸念している。
 ダンさんの近隣に最近引っ越して来たマイケル・ロジャーソンさんは、民間による解決策として、改造した元軍用ヘリ2機を消火専用ヘリとして地元に提供することを考えている。ロジャーソンさんは、航空機会社の最高経営責任者(CEO)だ。
 「もうすぐ装備が完了する。2週間程度でこの地域に配備できると思う」と話す。「カリフォルニア州森林保護・防火局や米森林局、そしてナパ地域の人たちに披露して、素晴らしい解決方法だと納得してもらいたい」
 あと数週間もすれば、ブドウの収穫が始まる。ダンさんは、できれば、そうした解決策や自分の消防車に頼らずに済むよう願っている。
 今は古い消防車のホースで、強力な水鉄砲を持っている孫たちと「水掛け合戦をしている」と話した。【翻訳編集AFPBBNews】

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