2021-09-16 13:04World eye

塗りつぶされたカブール壁画運動 アーティストは不屈誓う

【ソウルAFP=時事】アフガニスタンの首都カブールに迷路のように広がるコンクリート防爆壁。オミド・シャリフィ氏(34)率いるアート集団は7年かけて、これを色鮮やかな壁画に作り替えた。ところがそこにやって来たのが、イスラム主義組織タリバンだった。≪写真はアフガニスタンの首都カブールで壁画を塗りつぶし「イスラム体制と独立のためには試練と忍耐が必要」とのスローガンを書く作業員≫
 タリバンがカブールを制圧して数週間のうちに、ストリートアート作品の多くは塗りつぶされ、殺風景なプロパガンダのスローガンに置き替えられた。タリバンの厳格な価値観が再びこの国に押し付けられている。
 シャリフィ氏らが創設した壁画集団「アートローズ」は2014年以降、国内各地で2200点以上の壁画を手掛けた。彼らの芸術作品を白いペンキで塗りつぶしていく作業員の姿は、同氏にとって不吉な前兆だ。
 「私の頭に浮かんだのは、(タリバンが)この街を『カファン』で覆っていくイメージです」と、シャリフィ氏はアラブ首長国連邦(UAE)のアフガン難民収容施設から電話インタビューで語った。カファンは、イスラム教徒の埋葬で遺体を覆う白い布を指す。
 だが、たとえタリバンが作品を消し去っても、また身の安全のために避難を余儀なくされている状態でも、シャリフィ氏は自らの運動を続けると語った。
 「私たちは黙ってはいません」とシャリフィ氏。「世界中に私たちの声を必ず届けます。タリバンに毎日、屈辱を味わわせてやります」
 消された壁画の一つは、昨年、米国のザルメイ・ハリルザドアフガン和平担当特別代表とタリバンの共同創立者アブドル・ガニ・バラダル師が、アフガン駐留米軍の完全撤退をめぐる合意に署名した後、握手する絵だった。
 アートローズは作品を通して、平和と社会正義、説明責任を求める運動を展開している。彼らの壁画はアフガンの英雄をたたえ、暴力の代わりに対話を呼び掛け、女性の権利向上を要求してきた。
 アートローズのメンバーは殺害の脅迫をものともしなかった。イスラム過激派からは背教者の烙印(らくいん)を押されている。

■「決して消えない」光景
 旧タリバン政権下の公開処刑を忘れた人はいない。テレビやビデオを含む娯楽の全面禁止も忘れていない。
 シャリフィ氏はカブールのサッカー競技場で行われた公開処刑を「ありありと覚えている」と語った。斬首や手足の切断もあった。
 「自転車に乗って中央市場に行く途中で(中略)壊されたテレビやテープレコーダー、カセットテープをたくさん見ました」とシャリフィ氏は言う。「それがいつも頭に浮かびます。決して消えません」
 殺害の脅迫を何年も受けてきたシャリフィ氏にとって、最大の懸念は暴力を受けることではない。「怖いのは発言ができなくなることです」と語る。
 「何が私を突き動かしているのかといえば、言いたいことを言いたいということです。(中略)表現の自由が欲しいのです」【翻訳編集AFPBBNews】

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