2021-09-08 10:27World eye

タリバンを恐れる私たちのことを忘れないで…アフガンから必死の訴え

【ウィーンAFP=時事】画家で2人の子を持つアフガニスタン人女性、フレシュタ(仮名)さん(33)は自宅に身を潜めている。外国軍の元通訳で、ジョンの愛称で呼ばれていたアフガン人男性は、頻繁に居場所を変えている。ジョンさんのような外国軍への協力者を、イスラム主義組織タリバンは一軒ずつ捜し回っているという。≪写真はアフガニスタン首都カブール市内を車で巡回するタリバンの戦闘員≫
 20年の駐留を終えて米軍が完全撤退した現在、アフガン人は欧米諸国に必死に訴えている。国内に取り残され、タリバンに命を狙われるのを恐れている自分たちのことを忘れないでほしいと。
 各国政府はカブールの空港から国外退避を希望する人々のために航空便を手配したが、フレシュタさんは乗れなかった一人だ。
 フランスが手配したフライトに搭乗しようとしたのは、空港で100人以上が死亡した自爆攻撃の2日前だった。
 生後5か月の赤ん坊と5歳の娘を連れて長時間待ったが、空港周辺の混乱に緊張し、タリバンの戦闘員の発砲におびえ、やむを得ず、家に引き返した。

■「見て見ぬふりをしないで」
 現在、フレシュタさんはカブールの自宅に身を潜めている。
 「20年かけて私たちはこの国を、一つの国家にしよう、進歩させようとものすごく努力しました」とAFPに電話で語った。
 「私たちが伝えたいのは、アフガニスタンを出る手段を持たない罪なき人々のことをどうか考えてください、ということです」として、「私たちの状況を見て見ぬふりをしないでほしい」と訴えた。
 フランスを拠点とする芸術家や文化人らは、フレシュタさんを含め、複数のアフガン人に支援の手を差し伸べている。
 フレシュタさんは、他国がタリバン政権を承認すれば、「私たちの状況はこれから悪化する」と言う。「他国の人々は、私たちの声に耳を傾けるべきです」
 今、買い物は親類に頼み、行動を最低限に抑えている。なおかつ、全身を覆う「ブルカ」を必ず着用するようにしている。
 「そうしないと、危険なんです。私はアーティストとして、いろいろやってきたので」
 タリバンは、自分たちのイデオロギーに反対する国民を排除することはないと約束しているが、フレシュタさんは警戒を緩めていない。「タリバンのことは信用できません」と言う。「言っていることと、やっていることが全然違います」
 20年にわたる混沌(こんとん)が続くアフガニスタンの状況は、フレシュタさんの絵に反映されている。
 これまで国を出たいと思ったことはなく、個展やその他のプロジェクトで忙しくしていた。しかし、タリバンの政権復帰が迫り、インドへ逃れようと決心した。だが、あまりにも急な首都カブールの陥落で計画はついえた。

■「戦時の協力者に約束したことを守って」
 北大西洋条約機構(NATO)軍の通訳を務め、ジョンの愛称で呼ばれていた男性は、置き去りにされたことへの苦い思いについて話した。
 仕事では主にルーマニア軍に付いていた。ルーマニアはアフガニスタンに長期的に駐留し、最盛期には1800人の兵を派遣していたが、国外に退避させたアフガン人はわずか5人だ。
 タリバンは全国民に対する恩赦を発表したが、ジョンさんがAFPに送ってきたメッセージによると、武装した戦闘員が「家々をしらみつぶしに捜索し、外国軍の通訳を捜している」という。
 周辺での混乱や自爆攻撃などでカブールの空港に近づけないジョンさんは、頻繁に居場所を変えながら望みをつないでいる。
 ジョンさんは、こう懇願した。「戦時の協力者に約束したことをきちんと守って、私たちをアフガニスタンから避難させてください」

■オーストリアで同胞のために訴えるアフガン人
 オーストリアの首都ウィーンでも、アフガニスタン系のシマ・ミルザイさん(26)が、祖国に残された同胞に代わってオーストリア人の良心に訴えかけている。
 児童精神科医の免許を取得したばかりのミルザイさんは、6歳からオーストリアで暮らしている。家族は、長い間迫害を受けてきたイスラム教シーア派の少数民族ハザラ人で、タリバンが前回政権を握っていた1990年代にアフガニスタンから逃れた。
 ミルザイさんは現在、女性のいとこ2人をカブールから脱出させようとしている。
 「いとこたちは潜伏中で、すごく危険な状況にあります」とウィーンのカフェでAFPに語った。「タリバンに追われているんです。2人は米国のNGOの事務所で働いていたのですが、その情報をタリバンに見つかってしまいました」
 ミルザイさんは、オーストリアの政治家らの態度は「非人道的で恥ずべき」ものだと非難した。議員らからは、これ以上アフガン難民を受け入れるなという声が上がっている。
 現在オーストリアには4万人のアフガン難民が住み、国民1人当たりの難民受け入れ数は欧州連合(EU)域内最多だ。
 同国では最近、13歳の少女が亡命を希望するアフガン人グループに殺害されたとされる事件が起こり、難民問題をめぐる議論が紛糾している。
 「(難民の)多くは社会に溶け込み、犯罪者ではありません」とミルザイさんは言う。「難民を歓迎すれば、社会は豊かになると思います」【翻訳編集AFPBBNews】

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