2021-08-01 11:17スポーツ

平井コーチ、光る「目」と戦略=大橋の2冠サポート―競泳〔五輪・競泳〕

 競泳日本代表の個人種目は7月30日までに終了。メダルは金2個、銀1個の計3個で、日本選手団全体の中で特に量産を期待される競技としては寂しいが、女子の個人メドレー2冠の大橋悠依(イトマン東進)の成績は際立つ。代表チームの監督であり、大橋を指導する平井伯昌コーチ(58)の手腕が光った。
 2004年アテネ、08年北京両五輪の北島康介の2大会連続男子平泳ぎ2冠、16年リオデジャネイロ五輪男子400メートル個人メドレーの萩野公介(ブリヂストン)など、2000年代以降に日本競泳陣が獲得した金メダルのほぼ全てに関わってきた名コーチ。練習や予選のレースを見ると、各国の代表選考会などのデータと合わせ、どの選手がどれぐらいのタイムで来そうか的確に読んで戦略を立てる。
 大橋の400メートル個人メドレーでは、最後の自由形が得意な海外勢の展開に持ち込ませないため、ラストスパートに力を残しておくより300~350メートルを重視するプランを授け、逃げ切りを成功させた。事前に「4分31秒から32秒ぐらいで泳げれば勝つ」と予想した優勝タイムは4分32秒08でどんぴしゃりだった。200メートル個人メドレーでもライバルの状態や優勝ラインを読み切った。
 指導する選手の映像を入念にチェックし、どこをどう修正すればいいかと夜中まで考える。「夢の中で僕が僕に言う」。どのように助言すればいいかが「降りてくる」そうだ。泳ぎの小さな変化も見逃さない確かな目があるからこそだろう。
 「コーチングというのは技術を教えたり、練習をハードにやったりするだけじゃない。僕たちも忍耐力とか克己心がすごく必要」。大橋とは意見が食い違うことも何度もあった。「若い時だったらカリカリきた」と言うが、過去の指導経験が生きて我慢できるようになった。
 ただ、代表監督として感じている責任もある。指導する青木玲緒樹(ミズノ)が女子100メートル平泳ぎで準決勝にも進めなかったことを含め、日本勢の多くが決勝進出を果たせなかった事実に強い危機感を示す。胸中には「日本の水泳を強くしたい」との思いがある。理想的な強化体制構築のため、頭の中ではさまざまな戦略が渦巻いているはずだ。(了)
[時事通信社]

最新動画

最新ニュース

写真特集