2021-01-08 20:40国際

文政権に新たな難題=慰安婦訴訟、対応次第で事態深刻化―韓国

 【ソウル時事】韓国人元慰安婦らが日本政府に損害賠償を求めた訴訟で、ソウル中央地裁が原告の訴えを認めたことで、日韓関係の改善を目指していた文在寅政権には元徴用工問題に加え、新たな難題が突き付けられた。今後は日本政府の韓国内資産の差し押さえ問題が浮上する見通しだが、文政権が適切に対応できなければ、日韓関係は深刻な事態に陥る恐れがある。
 「感無量だ」。原告側弁護人は8日、判決後の記者会見で感想をもらした。高齢の元慰安婦は支援施設で判決の知らせを受けたという。2013年8月に慰謝料支払いを求める民事調停を申し立ててから約7年半。日本政府相手の勝訴判決に、原告側には安堵(あんど)が広がった。
 対照的に、日韓両政府間の緊張は再び高まった。東京では、外務省の秋葉剛男事務次官が韓国の南官杓駐日大使を同省に呼び、厳重に抗議。ソウルでも在韓日本大使館の相馬弘尚総括公使が、韓国外務省の金丁漢アジア太平洋局長に適切な対応を強く求めた。
 慰安婦問題をめぐっては保守系の朴槿恵前政権下の15年末、「最終的かつ不可逆的な解決」で日韓両政府が合意。だが、17年5月に誕生した革新系の文政権は合意に至る交渉を検証し、その過程に「重大な欠陥があった」として、合意を一方的に骨抜きにした。
 合意に基づき設立された「和解・癒やし財団」は解散決定に追い込まれ、元慰安婦への支援事業は中断。日本政府が拠出した10億円を元手に財団は合意時点で生存していた元慰安婦47人中、35人に現金を支給したが、残った拠出金約56億ウォン(約5億3300万円)は日本側が受け取らず、宙に浮いたままだ。
 原告側が日本政府の韓国内資産の差し押さえ手続きに踏み切れば、日本側が対抗措置を講じ、両国関係は抜き差しならぬ状況に陥る恐れがある。日韓関係に詳しい国民大の崔喜植准教授は「日本の拠出金から残っている資金を活用して問題を解決すべきだ」と主張する。
 元徴用工問題では、賠償を命じられた日本企業の韓国内資産売却の時期が差し迫る一方、慰安婦訴訟の原告側は法的手続き開始の時期を明言しておらず、時間的余裕はありそうだ。ただ、文大統領の支持率は下落傾向で、来年3月に次期大統領選を迎え、同5月には任期満了となる。求心力が低下する文政権下での対日関係改善は遠のきつつある。 
[時事通信社]

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