2020-10-16 16:36World eye

【解説】異例の王政批判も…タイ民主派デモ、最新情勢と今後の見通し

【バンコクAFP=時事】タイ全土でこの3か月間、学生たちが率いる民主派デモが激しさを増している。デモの参加者らは、批判不可能とされてきた王室の改革を求めて異例の声を上げている。≪写真は資料写真≫
 15日早朝、政府は非常事態宣言を発令し、4人以上の集会を禁じた。同日、主要な指導者らを含むデモの参加者20人以上が逮捕された。

■デモ隊の要求は?
 抗議行動に参加している人々はまず、プラユット・チャンオーチャー首相の退陣を求めている。元陸軍司令官のプラユット氏は、2014年にクーデターで政権を掌握して以降、5年間にわたって軍事政権を率いた。この軍政下で新憲法が起草され、昨年、新憲法下初の総選挙が実施された。
 この総選挙の結果、プラユット氏は文民政府を率いる首相として選出されたが、これについては新憲法の条項が同氏に有利に働いたと専門家らは指摘している。デモの参加者らは、プラユット氏選出に至る全ての行程が裏切りであると非難し、議会の解散、憲法改正、デモに対する弾圧の中止を求めている。
 さらにデモの参加者らは、強大な力を有する王族を批判からかばう不敬罪の廃止を含む、10項目の王室改革要求を掲げた。

■なぜ今なのか?
 若者の間で人気のある野党・新未来党の指導者らが政治活動を禁止された2月以降、不満が沸き立っている。デモの参加者の多くは、新未来党の排除は政治的な動機によるものだと非難している。
 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)によるロックダウン(都市封鎖)は、タイの経済状況を急激に悪化させ、富裕層と貧困層の間にある亀裂を露呈させた。
 さらに今年6月には、カンボジアで亡命生活を送っていたタイの著名な民主活動家ワンチャルーム・サッサクシット氏が失踪した。ツイッター上には、その答えを求める活動家らの抗議が広がった。
 7月半ばになると、ネット上の抗議が現実の抗議デモとなり、タイ全土に波及。9月中旬には、2014年のクーデター以降最大規模となる約3万人がデモに参加した。

■過去のデモとの違いは?
 タイでは数十年にわたって、暴力を伴う街頭デモと軍事クーデターが繰り返されている。しかし過去の抗議デモは、経済的・政治的に広大な勢力を背にしていた。
 だが、現在の学生主体の抗議デモの参加者らは、決まった指導者が率いているわけではないと語る。香港の民主化運動に一部感化された戦略だ。またこれまでタブーとされてきた王室について、大胆に取り上げることも初めてだ。

■次には何が?
 15日に発令された非常事態宣言によって、警察は抗議デモへの関与が疑われるあらゆる人々の身柄を拘束できる権限を手にした。
 宣言発令後、デモの参加者数百人は集会禁止令を無視して集結。チュラロンコン大学の政治評論家、ティティナン・ポンスティラック氏は、現在の状況は「流動的で炎上しやすい」と指摘する。
 逮捕者が出たことで抗議デモは後退したが「人々はとても広く深く不満を抱いているため、衝突は続く」公算が大きいとティティナン氏は述べた。【翻訳編集AFPBBNews】

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