2020-07-31 13:17World eye

タブー気にせず…壁に記す「ラブレター」 イラク・クルド人自治区

【アルビルAFP=時事】「皇帝ネロはローマに火をつけ、ネルミンは私のハートに火をつけた」──これはイラクのクルド人たちが壁に記した愛の告白だ。≪写真はイラク・アルビルの壁に描かれたハートや花≫
 保守的な社会における数少ない「はけ口」ともなっている壁での愛の告白は、アラビア語とクルド語の両方で書かれている。鮮やかな赤や青の文字は、殺風景な路地や人気のない袋小路、いくつもある廃屋に彩りを与えている。
 メッセージの中には、フルネームの代わりに日付とイニシャルが書かれたものや、ぎこちないハートや花が描かれたものなどがある。壁の隅には、「M+M=life」と斜めに書かれたものもあった。
 「アラ・ジアッド、何年先も変わらず私の大切な人でいてくれますように」
 橋の下で見つけたこのメッセージには相手の名前が書かれていた。宗教的な伝統と現代のロマンスのはざまで身動きの取れなくなったここの社会では、とても大胆な行動だ。
 イラク北部のクルド人自治区のアルビルには、超高層ビルやバーが点在しており、同国南部より寛容な地区として知られる。
 しかし、ここでも多くのタブーは依然として残っている。公共の場での愛情表現は軽蔑され、女性は職場での差別や嫌がらせを訴え続けている。さらに、活動家らによると、女性器切除や強制結婚が根絶されるまでには、まだまだ時間がかかるという。
 中には、独立国家のための闘争を呼びかけたり、近隣シリアの内戦でクルド人数千人がイラク北部への移動を余儀なくされたことを嘆いたりするような、政治的メッセージを含むものもある。その他では、2015年にイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」と戦ったクルド人の多い町、コバニに敬意を表すものも見られる。
 これらはすべて、それぞれの思いがこもったラブレターなのだ。【翻訳編集AFPBBNews】

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