2020-07-09 18:04国際

野党入りの首相弟が存在感=与党は圧勝狙う―10日にシンガポール総選挙

 【シンガポール時事】シンガポール総選挙(定数93)は10日、投開票される。与党・人民行動党(PAP)が選挙戦を優位に進める中、リー・シェンロン首相の弟で、野党の実業家リー・シェンヤン氏の発言が注目を集めている。
 名門「リー家」の一員ながら野党入りし、タブー視されがちなPAP一党支配の弊害を声高に指摘。野党勢力も歩調を合わせて危機を訴え、勢力拡大を目指している。
 シェンヤン氏は6月下旬、新興野党・前進党に入党したと表明した。出馬は見送ったが、父親である「建国の父」故リー・クアンユー元首相が創設し、兄が率いるPAPについて、エリート層重視で「道を外れてしまった」と手厳しく批判する。議会の健全化には「与党の圧倒的多数を終わらせる投票が必要だ」と訴えている。
 1965年の建国以来、PAPは総選挙で常に9割超の議席を獲得。一党支配を背景に、強権的な手法で国の発展を導いてきた。
 野党勢力はシェンヤン氏と同様、議会での批判勢力の重要さや社会的弱者の救済を訴え、支持を呼び掛けている。野党で唯一議席を持つ労働者党は、低賃金に苦しむ労働者を救うため最低賃金制の導入を提唱した。
 一方、PAPを率いるリー首相は「野党の主張は流行に乗った平時のスローガンだ」と一蹴。新型コロナウイルス流行で過去最悪の不況が見込まれる中、コロナ対策や雇用問題を争点にすべきだと力を込める。
 PAPはマニフェスト(政権公約)に「雇用が最優先課題」と明記した。危機を克服し、雇用を守れるのは経験豊富なPAPだけだとアピールしている。
 現在68歳のリー首相は70歳までに退任すると公言しており、選挙後、首相の座をヘン・スイキャット副首相に譲るとみられる。国民の信望が厚い「リー家」出身ではないヘン氏の求心力を高めるためにも、前回選挙の得票率(69.9%)を上回る圧勝を狙っている。 
[時事通信社]

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