2020-07-09 15:34国際

スペイン前国王、疑惑に揺れる=資産隠し、愛人に手当?―サウジ高速鉄道で収賄か

 【パリ時事】スペインの前国王フアン・カルロス1世(82)が疑惑に揺れている。フランコ独裁体制の復活を防ぎ「スペイン民主主義の守護者」と内外から支持を集めたのも今は昔。2014年に退位し、息子フェリペ6世に王位を継承、穏やかな引退生活を過ごすはずが、資産隠し、収賄、そして愛人と相次ぐ疑惑が晩節を汚している。
 8日付のフランス紙レゼコーによると、スイスの司法当局は最近、スペインの検察に接触し、前国王が資産を隠すため偽装工作を弁護士に指示したとされる捜査情報を提供した。
 スペインの検察は既に前国王に対する捜査を始めている。サウジアラビアの高速鉄道をめぐり不正に資金を受け取った疑いが浮上中で、スイスの情報との関連が注目される。
 サウジのメッカとメディナを結ぶ「ハラマイン高速鉄道」建設受注争いで11年、スペイン企業が競り勝った。スペイン紙パイスによれば、サウジ国王に対し裏で働き掛けたフアン・カルロス1世にスペイン企業から「巨額の成功報酬」が渡ったと疑われ、捜査は今年6月から本格化した。
 レゼコーによると、スイス当局は今回、前国王の関係者の証言に基づく捜査資料を提供した。前国王は在位中の08年、スイスの隠し口座を使い、サウジ政府から約1億ドル(約107億円)を受け取ったとされる。それを「タックスヘイブン(租税回避地)」であるバハマの銀行へ移すため偽装工作を弁護士に指示したもようだ。
 さらにパイスは、この資金から約6500万ユーロ(約79億円)が元愛人の女性に渡ったと報道。女性はスイス当局の調べに、お金は「(国王の)感謝の気持ちと愛情から贈られた。私とよりを戻したがっていた」と主張した。サウジの疑惑をスペイン当局が覚知した発端も、この女性とみられている。
 前国王は1981年、フランコ派のクーデターを命懸けで阻止した。「民主化の象徴」として多くの国民の感謝は今も消えていない。しかし、スペインが欧州経済危機にあえいでいた2012年、元愛人の女性とアフリカ南部ボツワナへ象狩りに出掛けていたことが発覚し、批判が噴出。14年6月の退位に追い込まれた。
 スペインのサンチェス首相は8日、記者団に対し、前国王に対する一連の疑惑について「困惑している」と、言葉を絞り出した。 
[時事通信社]

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