2020-07-09 14:23World eye

「若者は同じ運命に苦しんでほしくない」 元共産主義活動家が語る香港

【香港AFP=時事】元共産主義者で地下活動をしていたラウ・マンシンさん(91)は、英国統治時代の香港で、裁判を経ずに投獄された経験がある。ラウさんは今、中国政府が先月香港に導入した国家安全維持法によって、香港の新しい世代の反体制派が自分と同じような運命に苦しむのではないかと恐れている。≪写真は元共産主義者のラウ・マンシンさん。香港にて≫
 1929年北京に生まれ、家族と共に香港に逃れてきたラウさんは、1967年の左派による「暴動」の最中に、英国の非公式な施設に収容された著名な反体制派の一人だった。
 ラウさんは当時、中国共産党の忠実な支持者で、反植民地主義の活動に傾倒していた。それから50年後、民主主義を切望しているラウさんは、1997年に香港が中国に返還された時に、香港市民はある独裁者の手から別の独裁者の手にひき渡されただけだったのだと確信している。
 「多くの人が、香港は徐々に、最終的に普通選挙権を得るという中国の約束を信じていたものだった」とラウさんはAFPに語った。「だが、中国政府は香港に対する支配を強めており、強大な力によって反対の声を抑圧している」
 中国政府は6月30日、数か月に及ぶ大規模な、時には暴力的な民主主義を求める抗議活動の拡大を受け、国家安全維持法を導入した。
 前回、香港が同じような政治的混乱に陥った時、ラウさんはまさにその中心にいた。
 植民地支配に対する怒りと、中国での文化大革命の影響がきっかけとなった1967年の香港暴動では、51人が死亡した。貧困と汚職がまん延する時代に労働争議として始まった抗議活動は、大規模な闘争へと変化した。
 抗議活動は当初、大衆を引き付けた。
 だが、左派の爆弾により子ども2人を含む数十人が死傷し、反共産主義者の著名なラジオ番組司会者が車内で生きたまま焼かれたことで世論は変わった。英国は、多数の緊急条例を発動し、抗議活動と左派系の出版物を禁止した。

■「中国共産党に欺かれた」
 ラウさんは一斉に拘束された52人の抗議活動指導者の一人だった。ラウさんらは、建物の壁の色にちなんで「ホワイトハウス」と呼ばれた施設に裁判も経ずに拘束された。囚人番号459となったラウさんは、突然解放されるまで13か月をそこで過ごした。
 「いつ終わるのか、まったく分からなかった」とラウさんは振り返る。一度も拷問を受けたことはなく、今も中国に忠実な他の元収容者らが説明するようなゾッとする状況よりはましだったと話す。
 施設から出るとラウさんは、香港の左派組織から見放されたと感じた。ラウさんは拷問されたと証言することを拒んだため、組織から信頼されなくなったのだ。給料の良かった公務員の職を失った後にもらっていた組織からの支援も止められた。
 現在、車いすに座るラウさんは、若い時に急進的だったのは「中国共産党に欺かれ、香港左派によって目隠しされていた」ためだと話す。
 現在の民主派デモ隊の多くは、警察と対立することも辞さず、暴力的な戦略も肯定している。
 ラウさんは、長年の平和的な抗議活動が中国政府に対してほとんど効果がなかったため、香港人は選択肢がほぼ残されていないと感じるようになったと指摘する。
 現在の抗議活動の参加者らは「情報に通じた、教育を受けた一般市民が、普遍的な価値観を求め闘っている」と指摘。「人々は多くのものを壊したが、他に手段が残されていただろうか?」と問い掛けた。
 中国は「抵抗の鎮圧は今回で最後にしたいのだ」とラウさんは言う。
 「しかしその後、香港は穏やかで安定した状態になるのだろうか。鎮圧に対して従順になるのだろうか。私はそうは思わない」【翻訳編集AFPBBNews】

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