2020-07-09 14:34国際

WTO、候補乱立で混戦に=「先進国対途上国」の構図崩壊

 【ロンドン時事】世界貿易機関(WTO)のアゼベド事務局長の退任に伴う次期事務局長の候補が8日、出そろった。これまでの「先進国対発展途上国」の構図が事実上崩壊し、8人が乱立する混戦模様。米中貿易摩擦を背景に、米中が推す候補による「代理戦争」も予想される。
 1995年のWTO発足以来、一度も事務局長を輩出していないアフリカからは3人が名乗りを上げた。地域としての候補統一に失敗したが、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長に続くアフリカからの国際機関トップ選出に期待が高まっている。
 本命視されるのはナイジェリアのヌゴジ・オコンジョイウェアラ氏だ。財務相として経済改革を主導した実績があり、途上国だけでなく、先進国からも手腕を高く評価されている。世界銀行に25年以上勤務し、ナンバー2も務めただけに、WTO加盟国内での知名度も抜群。6月下旬には論壇ウェブサイトへの寄稿で「ルールに基づく国際貿易体制は公共の利益だ」と述べ、WTOの「復活」を誓っている。
 ケニアのアミナ・モハメド氏も、国内で閣僚を歴任し、国際機関でも実績を重ねてきた有力候補。中国はケニアに多額の投資をしてきたため、中国が支援に回るとの見方がある。
 過去に3人の事務局長を出した欧州は、欧州連合(EU)による統一候補の擁立を見送った。日本や米国も候補を出さず、誰を推すかに注目が集まる。先進国では英国がフォックス前国際貿易相を推した。ただEU懐疑派とされ、貿易交渉の実績も乏しいことからEUの反応は冷ややかだ。
 半導体材料の輸出管理問題で日本批判を連発してきた韓国産業通商資源省の兪明希通商交渉本部長も出馬を表明した。WTOでは全会一致が原則のため日本の支持が不可欠だが、関係改善のめどは全く立っていない。先進国がバラバラで一枚岩でないことも、混戦模様に拍車を掛けている。 
[時事通信社]

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