2020-06-30 17:55社会

強制不妊、国の賠償認めず=「除斥」で請求権消滅―違憲性判断を回避・東京地裁

 旧優生保護法に基づき不妊手術を強制されたとして、東京都内の男性(77)が国に3000万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決が30日、東京地裁であり、伊藤正晴裁判長は請求を棄却した。強制不妊をめぐる訴訟の判決は、昨年5月の仙台地裁に続き2件目で、いずれも原告敗訴となった。男性側は控訴する方針。
 男性は1957年に仙台市内の産婦人科病院で不妊手術を強いられた。2018年1月に報道で同法の存在を把握し、同年5月に賠償や謝罪広告を求め提訴した。
 伊藤裁判長は、男性には同法が対象とした障害や精神疾患などがなく、不妊手術をされたことは「誤りだった」と認定。男性は生殖機能を侵襲され、子供を持つかどうか意思決定するという憲法13条で保護される私生活上の自由を侵害されたと指摘した。同法の規定が違憲かどうかは明確に判断しなかった。
 一方、提訴時点で、被害発生から賠償請求権が認められる20年の「除斥期間」が過ぎていたと判断。除斥期間の起算点を遅らせる余地があるとしても、同法から優生条項が削除された1996年6月までだったとして、訴えを退けた。
 また、「優生思想は国が作り出したものではなく、その排除は容易ではない上、優生条項が障害者差別であることを正面から認める形で法改正された」として、政府や国会が救済措置を講じなかったことの違法性も認めなかった。
 判決後、記者会見した男性は「こんなにつらい思いをさせられるとは思っていなかった。不当な裁判だ」と話した。
 厚生労働省は「国の主張が認められたと認識している」とのコメントを出した。
 強制不妊をめぐる訴訟は、全国8地裁1高裁で原告計24人が争っている。仙台地裁は同法を違憲と判断したが、国の責任は認めなかった。 
[時事通信社]

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