2020-06-02 07:09スポーツ

高校生へ、挫折を糧に=イチローら育てた名伯楽―中村豪さん・球界へのメッセージ

 球史に輝く名選手でも乗り越えてきた挫折がある。愛工大名電高で長く監督を務めた中村豪さん(77)は、昨年に現役引退したイチロー氏(本名鈴木一朗)やソフトバンクの工藤公康監督、山崎武司氏(元中日)ら個性あふれる教え子をプロ野球に送り出した名伯楽。高校生が野球をできない現状に胸を痛めながらも「この体験が後々プラスになるのじゃないかと励ますしかない」と語る。
 「僕は甲子園に興味はない。プロ野球選手になりたい」と入学時に話して中村さんを驚かせた一朗少年は、1カ月で最初の壁にぶつかったという。5月に練習試合で先発登板したが、1死も取れずに大量失点。「野球をやめる」と「駄々をこねた」という。当時は「なら勉強しろ」と突き放したが、「あれで高校野球の厳しさを体感してくれた」。
 その後、鈴木選手は交通事故に遭い、2カ月ほど松葉づえを突く生活に。投球フォームを崩し、打者に集中することになった。結果、その才能がプロスカウトの目に留まることになる。
 当時の名古屋電気高に入学したての工藤少年との思い出も鮮烈だ。上下関係の厳しい寮生活になじめず、「不合理だ」と先頭に立ち、1年生全員で練習をボイコットしたことも。上級生との間に入り、必死になだめたという中村さんだが「リーダーシップはあの時からあった」。現在の片りんを感じていた。
 巣立っていく多くの教え子たちに「野球ばかりでなく、人生の中ではいろんなことを体験でき、それが支えになる」と伝えてきた。春夏の甲子園大会が中止になった球児たちの心情を思いやりながらも、試練を今後の糧にしてくれることを願っている。
 ◇中村豪さんの略歴
 中村 豪(なかむら・たけし)名古屋電気工高(現愛工大名電高)から愛知学院大などを経て、1978年に母校の監督に就任。甲子園には春2度、夏3度出場。2002年から07年まで愛知・豊田大谷高の監督を務めた。77歳。名古屋市出身。 
[時事通信社]

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