2020-05-26 07:15スポーツ

選手の進路に暗い影=アピールと評価、機会なく―高校野球・苦境の球児(下)

 夏の甲子園中止は、高校卒業後のプロ入りやスポーツ推薦での大学進学を目指す球児に暗い影を落とす。今年は選抜大会とその後の春季大会も取りやめとなり、3年生の選手は長期間にわたってアピールの場を失った。
 プロ野球のスカウトにとって甲子園は大きな判断材料となる。習志野(千葉)のエースとして夏の優勝経験もあるヤクルトの小川淳司ゼネラルマネジャーは「去年から今年、今年から夏にかけて成長してくる選手を評価する機会がないというのは正直、難しい」。米大リーグのアストロズなどでスカウトを務めた大慈弥功氏は「3年生の春から夏は、肉体的、技術的に最も伸びる時期。その過程も見ている」と話す。
 とりわけ影響が予想されるのは、例年であればプロ野球ドラフト会議の中~下位で指名を受けられるはずの選手。仙台育英(宮城)の須江航監督は「上位から次の層の子たちにとっては、より不透明なドラフトになるのでは」。プロ球団がリスク回避のため指名選手数を絞る可能性があり、同監督は「プロではなく進学を考えなくてはいけないかもしれない」と語る。
 従来は甲子園でのプレーで一気に評価を上げる選手もいた。健大高崎(群馬)の青柳博文監督は、普段は目立たない選手であっても甲子園で活躍すれば「光るものを見いだされて、ドラフト指名されることもある」。今回の中止により「そういう子たちの芽はつぶれてしまうかも」と危惧する。
 進学を予定している球児にとっても、事情は似たり寄ったり。大学によっては、全国大会出場をスポーツ推薦の基準としている。青柳監督は「うちはほとんどの子が大学進学を目指している。(推薦の)基準はどうなるのか」。広陵(広島)の中井哲之監督も「甲子園大会は大学に向けてのアピールの場でもある」と不安が尽きないようだ。 
[時事通信社]

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