2019-11-14 09:01World eye

中世北欧の写本コレクション、アイスランドがデンマークに返還要求

【コペンハーゲンAFP=時事】バイキングの襲撃から古代スカンジナビアの歴史、王や神々の物語まで──アイスランド人の学者が18世紀にデンマークのコペンハーゲン大学に遺贈した中世の貴重な手書きの写本コレクションについて、アイスランド政府が返還を求めている。≪写真はアルナマグネア・コレクションに含まれる中世アイスランドの写本〈部分〉。コペンハーゲン大学提供≫
 国連教育科学文化機関(ユネスコ)はこれらを「現存する唯一かつ最も重要な初期スカンジナビアの写本コレクション」と呼ぶ。一番古い物は12世紀にさかのぼるとされる。
 アイスランドは1600年代から1944年に独立を宣言するまでデンマークの支配下にあり、両国は密接な歴史を持っている。
 「アルナマグネア・コレクション」として知られるこれらの写本の一部は、すでにアイスランドに返還されているが、依然として約1400点がコペンハーゲン市内に保管されている。
 このコレクションの中で最も価値が高いとされているのは、北欧王朝史のサガ(散文物語)の中で最も有名な「ヘイムスクリングラ」のほぼ全編がそろった15世紀初頭の写しだ。原文は13世紀にアイスランドの詩人で歴史学者だったスノッリ・ストゥルルソンによって書かれた。
 ■元所有者自身の寄付
 アルナマグネア・コレクションは、歴史学者で文学と言語学の専門家でもあったアウルトニ・マグヌッソンにちなんで名付けられた。アイスランドに生まれたマグヌッソンは、1730年にコペンハーゲンで死去した際、自身が所有していた写本約3000点をコペンハーゲン大学に遺贈した。
 独立後のアイスランドはコレクションの返還を繰り返し要請。1960年代には、元植民地との関係を良好に保ちたいデンマークが一部返還に応じることになった。そして1965年に結ばれた条約に基づき、1971年から1997年の間に半数以上の写本がアイスランドに返還された。
 その後長らく、これらの文書を両国で分割保有することは問題視されてこなかったが、ここへ来てアイスランドのリリア・アルフレズドッティル教育・文化相が、さらに多くの写本の返還を求めている。
 アルフレズドッティル氏はこの問題の注目度を高め、マグヌッソン研究を専門とする新施設の建設に結び付けて語っている。この施設では、数々の中世の文書を展示する予定だ。同氏はAFPの取材に対し「なるべく多くの写本がアイスランドで保管されることが重要だと考えている」と話した。
 一方、コペンハーゲン大学で写本を管理するマシュー・ドリスコル教授はさらなる返還に反対し、残りの写本はデンマークの文化財だと主張している。
 ドリスコル氏は、大学はすべての写本をデジタル化し研究者が利用できるようにするなど、アイスランド政府と緊密に協力してきたと話す。
 同氏は「これらの写本は、違法に入手されたり、盗まれたりしたものではない…アウルトニ自身がもらったり買ったりして所有し、完全に合法な手続きをもって、彼がコペンハーゲン大学に寄贈したものだ」と語った。【翻訳編集AFPBBNews】

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