混乱収拾へ重責負う「行政の達人」=大統領職代行の韓首相―韓国
【ソウル時事】韓国の尹錫悦大統領が弾劾訴追され職務停止となったことで、韓悳洙首相が大統領職を代行する。過去に革新政権でも要職を務め、保革問わず能力を認める「行政の達人」(韓国メディア)。「非常戒厳」による混乱が続き、政治対立が深まる中、難しい国政運営を強いられそうだ。
韓氏は14日、弾劾訴追案可決を受け国民に向け談話を発表し、危機を招いたことに要職にある者として「重い責任を痛感している」と謝罪。「国民の日常への影響を最小限に抑えるため最善を尽くす」と表明した。
韓氏は2022年5月の尹政権発足直後に首相に就任した。韓氏の指名には、元検事であり、国会議員の経験なしで大統領になった「政治初心者」の尹氏を政策面でカバーできるとの期待があったとみられている。
経済官僚出身で、経済や外交に精通する。革新系の金大中政権で経済首席秘書官、盧武鉉政権で財政相と首相を歴任。保守系の李明博政権では駐米大使を務めた。
大統領の権限が圧倒的な韓国では、目立たない存在だったが、定例の閣議の主宰、新型コロナ対策やソウル・梨泰院の雑踏事故といった非常事態での陣頭指揮など多岐にわたる仕事を着実にこなした。24年4月の総選挙で与党「国民の力」が大敗した責任を取り辞意を表明したが、辞任せずに現在まで首相を続けている。
韓氏は14日、「韓米、韓米日、そして友邦との信頼を維持するため、内閣が最善を尽くす」と語った。来年1月にはトランプ米政権が発足し、日本でも石破茂首相が就任して間もない。関係構築が急がれる重要な時期でもある。
また、ただでさえ低成長が続く中、非常戒厳を巡る政局の混迷が追い打ちをかけ韓国経済は一層不安定な状況だ。実務家として定評のある韓氏だが、国のトップとしての実力は未知数。内政の混乱を収拾し、経済や外交面での影響を最小限に抑えられるかが試されている。
[時事通信社]
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