台湾総統が米ハワイへ出発=初外遊で立ち寄り、中国は威嚇
【台北時事】台湾の頼清徳総統は30日、米ハワイ州に向けて出発した。外交関係がある太平洋のマーシャル諸島、ツバル、パラオ3カ国歴訪の途中に立ち寄る形を取るが、米台間の指導者や高官の交流に反対する中国は威嚇を強めている。頼氏の外遊は5月の就任以降初めてで、米領グアムも経由して12月6日に台湾へ戻る。
頼氏は出発前に短く演説し、ハワイとグアムを経由すると述べ、米政府の協力に謝意を示した。その上で「南の島国と共に民主主義の価値を守ることを世界に示したい。今回の訪問は価値観外交の新時代を切り開くものだ」と訴えた。
台湾総統は就任後の外遊で米国を経由するのが慣例。頼氏の米立ち寄りは、トランプ次期大統領が就任しても米国の後ろ盾が維持されるよう布石を打つ狙いがある。トランプ氏は「台湾はわれわれに防衛費を払うべきだ」と主張しており、頼氏は26日、訪台した米上院議員との懇談で「軍備の購入を通じ、国防力を増強し続ける」と強調した。
中国外務省の毛寧副報道局長は29日の記者会見で「台湾当局指導者の訪米に断固反対だ」とけん制。台湾国防部(国防省)は30日、台湾周辺で同日午前6時までの24時間で中国の軍用機延べ18機が活動し、うち延べ7機が台湾海峡の中間線を台湾側へ越えたと発表した。
ロイター通信は台湾安全保障当局者らの情報として、中国軍が頼氏の外遊を口実に、台湾周辺で大規模演習を行う可能性があると報じた。中国軍が5月と10月に台湾を取り囲む形で実施した「連合利剣―2024」の3回目と位置付けることもあり得るとしている。
[時事通信社]
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