「多国間主義の旗手」演出=トランプ氏念頭、G20で積極外交―中国主席
【リオデジャネイロ時事】中国の習近平国家主席は18日、ブラジル・リオデジャネイロで開幕した20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に出席し、積極的な首脳外交を繰り広げた。「米国第一」を掲げるトランプ次期米大統領に対する各国の懸念を踏まえ、多国間主義と自由貿易の「旗手」としての中国の演出に努めた。
「G20は真の多国間主義を堅持すべきだ」「中国は常にグローバルサウス(新興・途上国)の一員であり、信頼できる長期的パートナーだ」「保護主義に走ってはいけない」
サミット初日の討議で、習氏はこう強調した。「真の多国間主義」は、同盟・友好国を束ねて対中包囲網を形成するバイデン米政権を「偽の多国間主義」と批判する習政権が多用する表現だ。
ただ、習氏の視線の先にあるのは、来年1月に就任するトランプ氏だ。同盟軽視の言動が目立つトランプ氏は大統領選で、中国だけでなく全ての国からの輸入品に追加関税を課すと主張。各国が身構える中、習氏には「分断への反対」を唱えることで国際社会を引き付け、中国の影響力を拡大する思惑がある。
新興・途上国との結束も重視。議長国ブラジルが重視する貧困問題を巡り、習氏は途上国支援を強化する方針を表明した。ブラジルのルラ大統領は「多国間主義が直面する危機への対処法は、さらに多国間主義を進めることだ」と語り、足並みをそろえる姿勢を見せた。
習氏は18日の討議に先立ち、スターマー英首相、オーストラリアのアルバニージー首相とそれぞれ会談した。英豪とも人権や通商問題などで中国との関係が冷え込んだ経緯があり、中英首脳の会談は2018年以来。習氏はアルバニージー氏との会談で「反保護主義」を訴えるなど、安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」で連携する米英豪への揺さぶりを図った。
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