イスラエル、ガザ長期駐留を準備か=停戦の道筋見えず―ハマス最高指導者殺害1カ月
【カイロ時事】イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザでイスラム組織ハマスの最高指導者ヤヒヤ・シンワル氏を殺害してから16日で1カ月。対イスラエル強硬派のシンワル氏の死亡により、ガザ停戦と人質解放の実現に向けた機運が高まったが、再開した交渉は頓挫した。イスラエルのメディアは、軍がガザでの長期駐留に向けて準備を進めていると報道。停戦実現の道筋は、見えないままだ。
シンワル氏は、昨年10月のハマスによるイスラエル奇襲の首謀者とされる。先月16日、ガザ最南部ラファで民家を転々としていたところ、イスラエル軍の銃撃を受けて死亡。ハマスは最高指導者がイスラエルの標的になるリスクを軽減するため、シンワル氏の後任不在のまま幹部がそれぞれの部門を担当しているとされる。
一方、バイデン米政権はシンワル氏死亡を「好機」と捉え、停戦に向けた仲介を加速させた。だが、10月末に再開した交渉は、恒久停戦やイスラエル軍のガザ撤退といったハマスの従来の要求が含まれずに行き詰まった。カタールは今月9日、イスラエルとハマス双方が停戦に「意欲と真剣さ」を示すまで仲介を停止すると表明した。
こうした中、地元紙ハーレツは13日、イスラエル軍がガザを南北に分断する「ネツァリム回廊」の幅を現在の5~6キロからさらに拡張していると報じた。回廊の両側には相当数の兵士が長期間駐留できる建物もあるという。イスラエル軍将校はハーレツに「軍は2026年より前にガザを去ることはないだろう」と指摘した。
イスラエルのネタニヤフ首相は米大統領選後、親イスラエル色の強いトランプ次期米大統領と立て続けに会談を実施。ガザやレバノンでの紛争や、イランへの対応について方針を擦り合わせたとみられる。米紙ワシントン・ポストは13日、イスラエルがレバノンとの停戦をトランプ氏の「外交成果」とするため、実現に向けて急いでいると報じた。ガザ停戦は「後回し」になっている可能性がある。
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