「危険運転」へ変更相次ぐ=遺族の署名活動影響か―死亡事故、立証にハードルも
車の高速走行などによる死亡事故の刑事裁判では、起訴罪名が自動車運転処罰法違反の過失運転致死罪から、より法定刑の重い危険運転致死罪に訴因変更されるケースが相次ぐ。重罰を求める遺族の署名活動も影響しているとみられるが、立証のハードルは高く、適用が認められない例もある。
宇都宮市内の国道で2023年2月、時速160キロ超の車に追突されたバイクの男性が死亡。車を運転した男について、宇都宮地検は過失運転致死罪で起訴したが、その後危険運転致死罪への訴因変更を宇都宮地裁に請求した。
男性の遺族が変更を求めて7万人超の署名を提出していた。同地検は変更理由について「所要の捜査の結果」と説明した。
大分市の県道でも21年2月、時速194キロで走行した車が交差点で会社員の運転する車に衝突。会社員は死亡した。当時19歳の元少年が過失運転致死罪で起訴されたが、危険運転致死罪に訴因変更された。
この事件でも、遺族が検察の対応に納得できないとして変更を求め、2万8000人超の署名を提出していた。
過失運転致死罪の法定刑は7年以下の懲役・禁錮または100万円以下の罰金であるのに対し、危険運転致死罪は最高刑が懲役20年で、その差は大きい。ただ、アルコールで正常な運転が困難な状態だった時や、制御不能な高速走行などの場合に適用される危険運転の立証には難しさもある。
大阪市で15年5月、美容師だった女が飲酒後に車を運転し、女性をはねて死亡させるなどした事故でも、過失運転致死傷罪での起訴に対し、遺族が17万人余りの署名を集めた。
大阪地検は訴因変更を請求したが、一審大阪地裁、二審大阪高裁ともに危険運転を認めず、過失運転致死傷罪で懲役3年6月の判決が確定した。
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