途上国向け資金の増額焦点=「1.5度」目標へ議論―COP29、11日に開幕
国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)が11日にアゼルバイジャンで開幕する。産業革命前からの気温上昇を1.5度に抑える目標の実現に向け議論。温暖化対策のため先進国が途上国に拠出する資金の増額で合意できるかが焦点となる。ただ、先進国と途上国の意見は隔たりが大きく、調整は難航しそうだ。
米大統領選で、温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」から再離脱する方針を示しているトランプ前大統領が勝利したことも交渉に影を落とす可能性がある。会期は22日まで。
2009年のCOP15は、20年までに途上国に年間1000億ドル(約15兆円)を拠出する目標を決定。しかし、期限に間に合わず、経済協力開発機構(OECD)によると、22年に年間1159億ドル(約18兆円)となり、目標に達した。
COP29では25年以降の新たな資金支援の目標を議論。途上国は、温暖化を背景にした自然災害で多くの損害を受けているとして、支援額を年間1兆ドル(約150兆円)規模に増やすよう求めている。
これに対し、日本政府関係者は「ようやく1000億ドルの目標を達成した状況。(途上国の)主張をそのまま受け入れるのは難しい」と指摘。先進国は、民間資金のさらなる活用に加え、中国などを念頭に、温室効果ガスの排出量が多い途上国側の国も相応の負担をすべきだと主張している。
温室ガス削減強化に向けた機運醸成も課題だ。パリ協定に基づき、各国は35年までの削減目標を25年2月までに提出する必要がある。日本は30年度に13年度比で46%削減する目標を掲げており、次期目標について政府内で議論している。
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