ゆがんだ商慣習の脱却急務=大手損保カルテル
大手損害保険各社が企業向け保険料を事前に調整していたカルテル問題で、公正取引委員会は4社に計20億円を超える課徴金の納付命令と排除措置命令を出した。一連の不正は、顧客企業とのなれ合いにつながった「政策保有株」や、顧客の商品を必要以上に購入する「本業支援」が温床になった。適正な競争環境を確立するには、長年のゆがんだ商慣習からの脱却が急務だ。
大手4社の価格調整問題で昨年12月に業務改善命令を出した金融庁は、保険契約の維持・拡大がサービスではなく、顧客企業と株式を持ち合う政策株が多いか少ないかで決まる慣行を問題視した。4社は同庁の要求を受け、合計で約9兆円(2024年3月末、時価ベース)に上る政策株をゼロにする。
ただ、その期限は東京海上日動火災保険と三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険が30年3月末。損害保険ジャパンは31年3月末と、まだまだ先だ。
契約獲得のための本業支援については、大手各社は社内規定を改正し、自社の保険の優先的な取り扱いを目的とした便宜供与を禁止した。日本損害保険協会も本業支援の一環で行っていた保険代理店への出向について、営業目的の場合は廃止する指針を公表した。
不祥事が相次いだ損保業界の是正に向け、金融庁は保険業法の改正に向けた議論に着手した。保険代理店だけでなく、中立的な立場で顧客に保険商品を案内する保険仲立ち人(ブローカー)の活用が進むよう、参入障壁を引き下げる法整備などを検討する。
[時事通信社]
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