妻死亡は他殺か自殺か=メタノール中毒、証拠乏しく―製薬大手元社員、30日判決・東京地裁
妻を急性メタノール中毒で死亡させたとして、殺人罪に問われた製薬大手「第一三共」元社員、吉田佳右被告(42)の裁判員裁判の判決が30日、東京地裁(坂田威一郎裁判長)で言い渡される。他殺なのか、自殺なのか。被告の関与を直接的に裏付ける証拠がない中、検察側と弁護側の主張は真っ向から対立しており、判断が注目される。
吉田被告は2022年1月14~15日ごろ、東京都大田区の自宅で、妻=当時(40)=にメタノールを摂取させ、急性中毒で死亡させたとして起訴された。「妻に殺意を抱いたことはない」と、一貫して否認している。
同月下旬、行政解剖で遺体からメタノールが検出された。自宅からは見つからなかったが、公判で検察側は、妻が普段飲んでいた焼酎パックの外側にメタノール由来とされる白濁痕が残っていたことから「焼酎に混入させた際に付着したものだ」と述べた。
その上で、創薬の研究員だった吉田被告は実験で日常的にメタノールを使用していたと指摘。同月14日に自身の研究室に2リットル分を搬入しており、持ち出す機会はあったとした。
弁護側は白濁痕について、証人出廷した専門家の証言から自宅にある台所用漂白剤などでも白色化すると反論。「妻が自らメタノールを摂取し、自殺した可能性がある」と訴える。
妻にメタノールの購入歴はなかったとする検察側主張に対し、自宅から2キロ圏内で取り扱う店舗のうち、21年12月以降の販売歴しか捜査対象になっていないと指摘。「妻は電動自転車で出掛けることもあり、2キロ圏外で買えたはずだ。購入時期が同月以降とも限らない」とした。
第一三共に同期入社した吉田被告と妻は、10年に結婚した。2年後には長男が生まれたが、被告の風俗店通いや妻の喫煙などを巡って互いに不満を募らせ、夫婦関係は悪化。18年ごろからは家庭内別居状態だったという。
検察側は論告で、長男に愛情を注いでいた妻に自殺する動機はなく、自宅に第三者が立ち入った形跡もないことから「犯人は吉田被告に限られる」として懲役18年を求刑。被告は最終意見陳述で、「メタノールを摂取したのは妻の意思だと思う。私は無実です」と話した。
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