岸田首相、総裁選日程を熟慮=「政局ムード」沈静化の狙い
岸田文雄首相(自民党総裁)が、9月末の任期満了に伴う総裁選の日程を「熟慮」している。いったん表面化すれば、立候補に意欲を示す石破茂元幹事長や河野太郎デジタル相ら「ポスト岸田」候補の動きが活発化するのは必至。できるだけ先送りし、党内の「政局ムード」を沈静化させる狙いもありそうだ。
総裁選を巡り、自民は26日に選挙管理委員会を発足させる見通しだ。告示日と投開票日は、9月24日からの国連総会一般討論演説を踏まえ、同月の「6日―20日」か「13日―27日」とする案が浮上。党の内規で、任期満了1カ月前までに選管が総務会を経て決定、公表する。
現職が出馬を予定している場合、その意向が優先されるのが通例だ。政権基盤が安定していれば、早期に日程を確定させ、続投の流れを主導するケースもある。
しかし、岸田内閣の支持率は派閥裏金事件などの影響で低迷している。党関係者は「首相の望む日程が表沙汰になれば反発が起きかねない」と指摘。実際に固まるのは、期限直前の8月下旬になるとの見方が有力だ。
首相は、自身に批判的な非主流派の動向も注視している。その筆頭格である菅義偉前首相は6月、裏金事件に触れて「首相が責任を取っていない」などと事実上の退陣論に踏み込んだ。ただ、その後は党内でそうした声が拡大しているとは言い難く、首相に近い党ベテランは「非主流派は焦っている。われわれは動かなくていい」と様子見の構えを見せる。
党内には、首相を応援する動きもある。船田元衆院議員は1日、自身のホームページで「責任を取っていないとの批判は当たらない」と擁護論を展開。党の女性議員有志も18日、首相との懇談で「政策的な失点はほとんど皆無だ」などとエールを送った。
「『首相は案外頑張っている』という声が増えてくれば風向きは変わる」。岸田派の閣僚経験者は局面転換に期待を示した。
[時事通信社]
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