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政府、抑止力低下を懸念=米韓の大規模演習廃止

2019-03-05 16:34

米韓両国が毎年春の大規模な合同軍事演習の廃止で合意したことを受け、日本政府は在韓米軍の抑止力が低下し、東アジアの軍事バランスが崩れかねないと懸念を強めている。北朝鮮に対する軍事的圧力が緩み、拉致問題などで譲歩を引き出しにくくなると不安視する声もある。
岩屋毅防衛相は5日の記者会見で「(米朝交渉の)環境整備のための判断だろう」と述べ、米韓両国の決定に一定の理解を示した。同時に「朝鮮半島における抑止力をしっかり維持する方向で対応していただきたい」と語り、在韓米軍の抑止力低下につながらないよう要請した。
日本政府が演習廃止に理解を示したのは、トランプ米大統領の判断にあえて異論を唱え、日米間に波風を立てるのは得策ではないとの判断からだ。米政府から事前に説明を受けていたという事情もある。外務省幹部は「交渉の手法なのだろう」とトランプ流に諦め顔だ。
もっとも、米韓両軍が今後行う小規模訓練では「練度が下がる」(政府関係者)のは確実。北朝鮮は非核化のカードを何も切らないまま見返りを得る形になり、米朝交渉で北朝鮮ペースが強まる可能性も否定できない。日本政府内からは「歓迎できない。じくじたる思いだ」(外務省関係者)との本音も漏れる。
トランプ氏は演習廃止について、当初は北朝鮮との緊張緩和に言及していたが、その後は費用の節約が理由と繰り返している。外務省幹部は「コストが理由だと言えば米国の都合だと思われ、北朝鮮に恩を売れない。トランプ氏は(演習廃止を)無駄にしている」と嘆いた。
[時事通信社]

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