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亥年選挙へ「ばらまき」=官邸・与党主導、財務省黙認―19年度予算案

2018-12-21 16:49

政府が21日に閣議決定した2019年度予算案は、ばらまき色が鮮明だ。首相官邸と与党は来年夏の参院選をにらみ、キャッシュレス決済時の5%ポイント還元など、消費税増税時の景気下支えを名目に財政出動を主導。総額は過去最高を塗り替え、100兆円の大台を初めて突破した。
「政策を総動員し、消費税率引き上げによる影響を乗り越える十二分の対策を講じる」。安倍晋三首相は19日、首相官邸で開いた政府・与党政策懇談会でこう述べ、5%ポイント還元などをアピールした。
来年は春の統一地方選と参院選が重なる12年に1回の亥(い)年。亥年選挙は、地方選で組織が疲弊し、与党が参院選で苦戦する傾向がある。前回の亥年は第1次安倍政権当時の2007年。この年の参院選も与党が惨敗し、首相はその後、退陣に追い込まれた。
周辺によると、首相は今回「インパクト」にこだわった。10月に首相が消費税率を予定通り1年後に2%引き上げると表明した際、政府内では2%のポイント還元が検討されていたが、首相は11月、還元率を5%に上積みすると表明。増税分を上回る還元率に政府・与党内には驚きが広がり、「増税の意味がない」(自民党中堅議員)との声が漏れた。
公明党も「手柄」取りに動いた。低所得・子育て世帯向けに、公費負担によって購入額以上の買い物を可能にする「プレミアム付き商品券」の発行を主張。費用対効果の観点から疑問の声が強かったにもかかわらず、2万円で商品券を購入すれば2万5000円分の買い物ができる期限付き制度を実現させた。
財務省もこうした歳出拡大要求に強くは抵抗しなかった。仮に財政出動を渋って景気が腰折れすれば、消費税増税を推進する財務省が責任を負わされるとの懸念も透けて見える。財務省幹部は「ここで失敗したら、消費増税の話は将来にわたってできなくなる」と話した。
野党は今回の予算案を批判している。財務省出身の玉木雄一郎国民民主党代表は「財政規律が緩んでいる。超えてはいけない非常に重大な一線を越えた」と指摘。「自民党は先祖返りしている」と切り捨てた。
[時事通信社]

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